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事務局長は元読売運動部長だが…
NPBが産経を“出禁”の波紋

source : 週刊文春 2016年4月14日号

genre : エンタメ, スポーツ, 企業, 社会

熊崎勝彦コミッショナーは何を考えているのか
Photo:Kyodo

 野球賭博問題で揺れる日本野球機構(NPB)の“強権ぶり”が波紋を呼んでいる。

 3月28日、NPBは巨人の高木京介投手が野球賭博に関与していた問題について、産経新聞に記事の訂正を求める抗議書を送り、管理施設内への立ち入りを禁じる、事実上の“取材拒否”通告を行なったのだ。NPBが問題視しているのは、3月23日付の社会面に掲載された、スポーツ評論家の玉木正之氏の次のような談話である。

〈涙を浮かべて謝ったから処分が軽くなったのかと疑ってしまうし、そもそもきちんと調べているのかも疑問だ〉

 NPB側はこれが「野球界全体を辱める行為」としているが、玉木氏本人はこう語る。

「コメントした私には一切連絡せず、産経にだけ抗議をしていること自体おかしい。私は感想を述べているに過ぎないわけで、NPBはそれすら許さないと言うのでしょうか。

 NPBの井原敦事務局長は元読売新聞運動部長。ジャーナリストだった方がこんな抗議をすることに唖然とします。しかも、同じ紙面で他の識者は『臭いものにふたをするような対応だ』と批判しているのにお咎めなし。まったくバランスがとれていません」

 実は、NPBによるメディアへの“出入り禁止処分”はほかにもあった。

 3月14日に放送されたテレビ朝日「報道ステーション」で、野球賭博問題に関する朝日新聞の編集委員(当時)の西村欣也氏のコメントに問題があったとして、巨人軍がテレ朝に抗議。テレ朝は3月30日の番組内で、古舘伊知郎氏が謝罪と訂正を行なった。ところが、NPBはなぜかこの件でテレ朝ではなく、朝日新聞に処分を科したのだ。

「“出禁”はわずか1日でしたが、産経の時とは違ってコメントした西村氏が所属していた朝日新聞に処分を行った。NPBは巨人の意向を慮(おもんぱか)るかのように、相手を選んで反撃しているように見えます」(スポーツ紙デスク)

 NPBは現在、野球賭博の再調査を進めているが、こちらは一転して慎重だ。巨人を解雇された笠原将生氏は「再調査への協力を了承し、NPB側に質問項目の提示を要求したが、一度問い合わせがあっただけで、その後連絡がない(4月4日現在)」という。

 NPBはメディア攻撃の前にやるべきことがあるはずだ。