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阪神大震災のときラブホにいたという数奇な運命について――岡宗秀吾×森山直太朗×御徒町凧×大根仁

阪神大震災のときラブホにいたという数奇な運命について――岡宗秀吾×森山直太朗×御徒町凧×大根仁

『煩悩ウォーク』刊行記念、大盛り上がりのイベントレポート第2部

note

阪神・淡路大震災の話を読んで、嗚咽するくらい泣いて

岡宗 そろそろ本の話をしてくださいよ。

御徒町 『煩悩ウォーク』、すごく面白かったです。本の中に、直太朗の名前が出てきたことも嬉しくって。ましてやトークイベントに呼んでいただいたことも、本当に光栄で。直太朗と相談して、何かできないかな、自分たちがやってきたことで、岡宗さんと響きたいなと思って。僕、この本の第2章の阪神・淡路大震災の話を読んで、嗚咽するくらい泣いてしまったんです。このときに岡宗さんが行動を起こしたのとは違う形ですが、東日本大震災のときに、実は直太朗と曲を作ったんですね。その曲は「放射能は目に見えないから」ってタイトルで。スタッフたちに「さすがにこの曲はダメなんじゃないの」と言われて出せなかったんですけど。この場でこの曲を岡宗さんに聞いてもらいたいなと思って、「やらない?」って直太朗に連絡したら、LINEで「おう」って返信がきて。

岡宗 え!? 今やるってこと? やばいね。あ、ギターあるやん!

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御徒町 あと、僕も「煩悩ウォーク」という詩を書き下ろしてきたので、先に詩の朗読をやらせてください。

「煩悩ウォーク」

何もないと思っていた所なのに 
つまずいて転びそうになった
慌てて振り返ると誰もいなくて 
見られてなくて安心はしたものの
やっぱりそこは何もない所で 
まぁいいかと通り過ぎようとしたのだけれど 
やっぱり気にかかり地面を凝視すると 
薄桃色の半透明でゼリー状の塊があり
大きさは冬の終わり頃のミカンくらいで
それは煩悩だった
僕がつまずいたせいで少し凹んでいたけれど
ゆっくりと元の形に戻っているようで
それにしてもこんな煩悩あったけなぁと考え込んでいると
周りには他にも違う色形の煩悩が転がっていて
ああそうか、これは俺の煩悩ではないのだ
人間には108の煩悩があると言われているのだから
この地表には7560億個の煩悩があるわけで
日本だけでも129億6000万個もあるのだ
まぁ逆に、よくこれまでそのことにも気づかずにいられたなぁ
そう思って来し方を振り返ってみると
そこには僕が踏み潰してきたたくさんの煩悩があって
なんだ気づかなかっただけかと
急に少し疲れたような気がして
海を見ようと海を目指したのだけれど
海岸線、砂浜を含む至るところに煩悩がひしめいていたので
爪先立ちで行くことにした
煩悩ウォークで

詩を朗読する御徒町さんに会場中がシビれた

(会場から大きな拍手)