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稲田防衛相の「暴発」に警戒
衆院解散を占う駆け付け警護

source : 週刊文春 2016年10月27日号

genre : ニュース, 政治

資産家で知られる稲田氏

 稲田朋美防衛相(57)が国会で火だるま状態だ。答弁だけでなく、「感情」も不安定で、安倍内閣の思わぬアキレス腱になりつつある。

 国会では涙を見せ、「防衛費」を「軍事費」と失言し、資金管理団体が、同じ筆跡で金額が書かれた領収書を3年間で約260枚、約520万円分を総務省に提出していたことも判明した。

 当選4回ながら行革担当相、党三役の政調会長を歴任した稲田氏になぜこんなに“ボロ”が出るのか。

「安倍晋三首相に見出されるきっかけになった南京大虐殺には詳しいが、外交や安保は素人です」(自民党議員)

 防衛相に抜擢された経緯を官邸関係者が明かす。

「タカ派の安倍首相は、自分の政権は外相と防衛相はハト派の方がうまくいくと周囲に漏らしていました。ところが、女性初の防衛大臣を務めた小池百合子氏が都知事になり、直後の内閣改造では女性抜擢を前面に出したいと、名前のある稲田氏を防衛相に、丸川珠代氏を五輪担当大臣に起用したのです」

 連日の追及もあってか、

「勉強三昧だった若い頃の反動か、ブランド中心の派手なファッションを好むが、トレードマークの網タイツをやめた」(同前)

 そんな稲田氏を、待ち受ける最大の政策課題が、自衛隊の南スーダンでの「駆け付け警護」だ。政府は、昨年成立した安全保障関連法に基づいて、国連の平和維持活動にあたっている自衛隊に、新たな任務を付与する方向で検討を進めている。その準備として稲田氏は、今月8日に南スーダンを視察した。

「先月行く予定でしたが、抗マラリア薬服用の副作用でじんましんが出て中止。ようやく視察が叶い、稲田氏は国会で『状況は落ち着いている』と報告しましたが、現地では衝突が相次いでいる。事実、安全に万全を期すとして、稲田氏の滞在はわずか7時間で、メディアも代表取材となったほど」(政治部記者)

 この駆け付け警護問題は、衆院解散にも影響する。

「それだけ危険な状態だけに、万が一死傷者が出れば、選挙に影響が出る。駆け付け警護を実施するようなら解散なしでは」(前出・自民党議員)

 国内政局と現地情勢の綱渡りに頭を悩ませている防衛省の官僚たち。今、最大の懸念材料は、持ち前の勇ましい発言を封印中の稲田氏が、追及に耐えかねて、答弁で「暴発」することだという。