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特集
どうする保育園。どうなる待機児童。 国会議員、地方自治体トップ、当事者に連続インタビュー

渋井 哲也
2017/12/07

希望園はたくさん書いてください

 上田 明らかなミスや誤解で保育園に入れなくなるような不幸はなくしたい。例えば、(1)希望園を1件だけ書くと「思いが強い」から合格する、なんて都市伝説が一人歩きしています。絶対にありえない!

 本目 間違いないです。自治体によって細かいルールは違うと思いますが、基本的に点数の高い人から順に保育園の枠を割り振っていきます。先に点数が高い方で定員が埋まってしまえば、いくら第1希望に書いても意味がありません。希望園はたくさん書いてください。欄外でも別紙でもかまいません。

 上田 江戸川区の申請書類には希望園は5つしか書けませんが、欄外に10園ぐらい書くようにセミナーではお伝えしています。

 

 伊藤 いま「点数」の話が出ました。細部は自治体によって異なりますが、「保育が必要な状況かどうか」を数値化したものですね。両親の勤務状況や兄弟の数など、家庭の状況が項目になっています。この点数が高い順に保育園に入れるわけですね。

 本目 まずは(2)自分の「持ち点」を正確に把握することが重要です。そのためには、市役所・区役所の窓口に行って、担当の部署できちんと確認してください。台東区の場合は、「子育てアシスト」という保育園のコンシェルジュもいます。質問をしまくって大丈夫です。

 個別に相談を受けた中では、行政職員とのコミュニケーション・ミスで点数が低かったという事例をよく聞きます。例えば、子どもの面倒を祖父母に見てもらえない場合、祖父母が遠方に住んでいる場合には、(台東区の場合)1点が加算されます。しかし「祖父母がいる」という事実だけを伝えたため、加点がされなかった、といったケースがありました。こちらの状況を正確に伝えた上で、点数の確認もきちんとしないといけません。

 伊藤 その上で、(3)最低何点あれば特定の保育園に入れるのか、確認する作業を行います。新宿区の場合、「○○保育園の○歳児のクラスは、昨年最低何点から入れましたか?」と個別に問い合わせれば教えてくれますが、ホームページなどでは公開されていません。隣の中野区では公開されているのに、新宿区の担当部署に聞いても「そういう要望が出ていない」と言われてしまう。ブログで公開するのもダメとのことです。

 上田 おかしな話ですね。そんなときは、情報公開請求の対象になるかを聞いてみればいい。対象になるのであれば、黙ってブログに書いてしまって問題ありません。本来、行政のデータは住民のものですから。

 本目 どんどん問い合わせましょう。ニーズがあるとわかれば、公表する方向に舵を切るのではないかと思います。

 伊藤 いちいち電話対応することになれば、職員の人件費もかかりますから非効率ですよね。

 本目 ただ、昨年度の最低点数は、みんなが知ってしまったら低かった保育園も人気になって、入れなくなってしまう可能性はあります。あくまでも参考なのですが、全体的な傾向はわかります。

 

議員のコネなんてありえません

 上田 逆にすべて客観的基準にもとづいて審査されるため、(4)窓口で泣き落とし作戦をやっても意味がない。職員は異動しますし、役所はすべて文書で動きます。ですから、伝えたい情報はすべて文書化して、可視化しなければ意味がありません

 伊藤 よく(5)特定政党の支持者は有利になるとか、議員のコネで保育園に入れるなんて都市伝説もありますが、同じ理由でそんなことはありえません。誤解されると嫌なので、相談を受けた最大会派の議員自身が「私のコネで入れたわけではない」とあえて説明しているぐらいです。

 上田 ママたちも監視していますからね。「なんであの人は入れたの?」って。

 本目 私たちは決して「裏技」を持っているわけではありません。ただ、相談を受けてアドバイスをすることはできます。行政の窓口でわからない場合、区に一人ぐらいは子育てや保育園に熱心な議員がいると思います。区民がすぐにできるのは、議員を動かすこと。そして、そういう議員を応援していただきたい。自分のエリアで誰が詳しい議員なのかわからない場合には、編集部を通じてご連絡をいただければ、がんばって探します。

 上田 そうですね。私も「保育族」を増やすために、とにかく当事者である人を議員にしてきましたから、そのネットワークは拡充中です。

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