昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

三浦 瑠麗
2018/01/04

三浦瑠麗が論じる「政治家の不倫」 ここまで責められる要因は?

 昨年は宮崎謙介氏、今年は山尾志桜里議員と、不倫や疑惑報道が続く昨今。政治家にとって不倫がタブー視されない時代が長かったが、世間の目は変わり、容赦ない。その背景にあるものは何かを気鋭の政治学者が解読する。(出典:文藝春秋オピニオン 2018年の論点100

党の混乱と解散にも影響

 2017年は、政治家の不倫問題が大きくクローズアップされた年でした。前年には、議員の育休制度について問題提起した宮崎謙介氏(自民)が妻の妊娠中に不倫していたとして議員辞職。その後、元SPEEDの今井絵理子氏(自民)や、幹事長に内定していた山尾志桜里氏(民進)の不倫が報じられました。今井、山尾両氏は報道を否定し、いわゆる「一線を越えていない」論争を巻き起こしました。

 山尾氏については、民進党の次世代を代表する政治家と目されていたことや、自民議員の不倫問題を追及した側としての「ブーメラン」批判もあり、週刊誌やワイドショーを超えて、主要メディアも大きく取り上げました。民進党の混乱の象徴として、解散判断にも影響を与えたと言われており、今や不倫問題が憲政を動かす要素にまでなっているのです。

©iStock.com

なぜ不倫がクローズアップされるのか

 頻発する不倫問題について、議員の見識が落ち、風紀が乱れているという解説もありますが、私は、そうは思っていません。人間も、政治家もそんなもの。政治家の不倫なんて昔からいくらでもありました。それが、メディアでクローズアップされるようになっただけです。

 過去、不倫問題が大きく取り上げられなかったのは、社会が男性中心の価値観で回っていたから。「婚姻を壊さない」男性側の不貞に対して社会はとても寛容でした。その構造を支えたのは、「二号さん」的な地位に甘んじる女性達であり、何より妻の我慢でした。経済的に自立していない彼女たちは、その構造を受け入れざるを得なかったからです。

 もう一つの変化はメディアの側にあります。一昔前まで、政治家の不倫は知られていても、報道されませんでした。政治部の記者と政治家は持ちつ持たれつであり、不倫が政治家の資質の根源に関わらない限りは不問に付すという「プロの間の合意」があったのです。昨今の不倫報道は、週刊誌記事が発端となり、それがネット上で炎上し、それを主要メディアが取り上げるという経過をたどっています。プロ達によってコントロールが利かなくなり、人民裁判的な大衆の暴力を直(じか)に受ける結果となっているのです。

 頻発する不倫報道に対して、不倫は夫婦間の問題であって、社会が非難する立場にないという意見も少数ながら聞かれました。政治家の不倫は、政治家の資質や能力とは関係ないと。暴力行為やストーキング行為など、法に触れる要素を含まない限り、私もそう思います。何より、人の痴話話なんて聞きたくないと。

 他方で、政治家には一段高い倫理感を持ってほしいという意見も根強く存在します。個人の間の婚姻契約における、貞操の義務の違反がどうしてここまで社会的関心を集めるのか。それには、婚姻を成立させている構造を理解する必要があります。

©iStock.com