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“バブル”は別の顔をしてやってくる――エコノミストが解説する今必要な知識とは

2018/05/07
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 バブルは別の顔をしてやってくる――。次にバブルがやってくるのはどの業界か、バブルが起こるのはどんな条件下か。日銀の超金融緩和はバブルを呼ぶのか――。エコノミストの熊野英生氏が予測する。 (出典:文藝春秋オピニオン 2018年の論点100)

知識に精通した人だけがバブルの利益を得ている

「80年代と同じバブルは起こりますか?」と問われると、NOと言わざるを得ない。80年代バブルは、全面的なユーフォリア(陶酔)であり、企業も庶民も踊った。もう庶民が踊るバブルは来ない。

80年代バブル崩壊後の客待ちタクシーの洪水 ©山元茂樹/文藝春秋

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 しかし、バブルは別の顔をしてやってくる。この法則は今も生きている。ビットコインやタワーマンションのブームのように、マニアックな分野では何度でもバブルは起きている。かつてインテルの経営者は、「パラノイアだけが生き残る」と名言を吐いた。ひどくこだわりの強い人間だけがIT分野の競争を生き抜ける。17年現在のバブル的兆候も、パラノイアの如く、ごく一部の知識に精通した人々だけがバブルの利益を謳歌できている。