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電波少年的ユニクロ株主総会潜入からの、それぞれの「アポなし」

「週刊文春」12月14日号最新レビュー

2017/12/09

「今、質問された方は本を書かれた方ですね」

 今回は無事、総会に出席でき、質問に立って、サービス残業の有無を問いただす。すると「今、質問された方は本を書かれた方ですね」と柳井社長は言い、「では大木執行役員の方からお願いいたします」と別の者に答えさせるのであった。

©文藝春秋

「本を書かれた方」などとよそよそしい扱いをするが、かつて柳井社長と横田はインタビューというかたちで直接話しているのである。それどころか横田に奥さんとの馴れ初めを聞かれ、「そんなことはいいじゃないですか(笑)」(注)などと照れながらも語らい合った仲なのではないか。

脱北兵士の白い靴下

「アポなし」でいえば、ソウル特派員・朴承珉による「意識を回復した脱北兵士の素性と憧れのチョコパイ」は、アポなし訪韓すべく板門店のJSA(共同警備区域)を越え、脱北に成功した兵士のその後をレポートする。

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©getty

 体内に無数の寄生虫がいることで話題になり、北朝鮮の衛生状態の悪さがそこから推しはかられているが、それでも、くだんの兵士はエリート層だと見られている。なぜならその「証拠に、“白い靴下”を履いていた」からだと記事にはある。

 なんでも物資不足の北朝鮮では、大半の兵士は靴下も履けずにいて、丸めた布を代用するのが普通だという。ユニクロにいけば、3足1000円の靴下も、土地によってはエリートの証なのだ。

たけしが語るフライデー襲撃事件

 またビートたけしが講談社のフライデー編集部を「アポなし」訪問したのは31年前の今日、12月9日のことであった。フライデー襲撃事件だ。

 先週からたけし・高田文夫・亀渕昭信の鼎談「ビートたけしのオールナイト文春」がはじまったが、今週号ではくだんの事件と逮捕・謹慎、復帰について語り合っている。

ビートたけし ©杉山秀樹/文藝春秋

「あの頃は芸事ということに行き詰まってましたね。テレビやラジオで自分が考える限界までやってたんだけど、その先が見えなかった」。そんなフラストレーションが溜まっていた時期だったと、たけしは当時の自分をふり返る。

 将来、柳井社長が横田のインタビューの依頼を受け入れ、「あの頃は事業に……」などと語り合う日は来るのだろうか。


(注)横田増生『ユニクロ帝国の光と影』(文春文庫)収録のインタビューより

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