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落合 陽一
2018/01/13

落合陽一「AI時代、仕事を奪われないために必要なこと」

 人工知能の進化で、どこまで「仕事を奪われる」のか。生き残りをかけてすべきことは? 20、30代は何を目標に、それより上の世代は? 筑波大学で教鞭をとる落合陽一氏による実践的な対策。(出典:文藝春秋オピニオン 2018年の論点100

スキルが1個だけでは危険

「AI時代に消滅する職業リスト」が、このところ話題だ。消滅する職業として、運転手、レジ係から、医者、弁護士までが候補に挙がっている。

 だが私からみると、この区分け自体がナンセンスであると感じることも多い。なぜなら、誰が生き残るかという観点が抜けているからだ。すなわち、ひとつの専門分野において唯一無二のレベルであれば、生き残れる確率は高まる。

 しかし、そのうえでやはり、スキルを1個だけしか持たないことは、あまりおすすめしない。その職業がいつ廃れるか予想がつかず、リスクが高いからだ。

 私自身を振り返っても、職業的スキルは多岐に渡っている。本業である大学の先生、メディアアーティスト以外に、作家、ジャーナリスト、バラエティ番組出演者、写真家、CADオペレーター、ハンダ付け作業士など。数えたところ、文字通り100個ぐらいの仕事をひとりで行っている。いわば語の本来の意味での百姓のような状態だ。近代以降、ひとつの職に就くことがよしとされ、こうした生き方は“器用貧乏”と貶められてきた。しかし、AI時代を迎えて、再び多様なスキルが脚光を浴びている。

器用貧乏が優位に立つ時代がくる ©iStock.com

 もちろん、すべての技能においてプロレベルである必要はない。私の場合、プロレベルなのは、リサーチ、プロダクトづくり、アート、本を書くこと、など。セミプロレベルなのが、学生時代に身につけた映像編集の能力など。アマチュアレベルなのが、ビデオカメラをまわすこと、写真を撮ることなどだ。iPhoneのカメラは優秀なので、アマチュアレベルでも自分で使う映像なら問題はない。

 これらスキルセットのユニークな組み合わせで、他人ができないことをやることが重要だ。たとえば、キングコングの西野亮廣氏の場合は、お笑い芸人×絵本作家、として才能を掛け合わせることで個性を際立たせている。