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落合 陽一
2018/01/13

役に立つのは会計学と博士号

 今後、AIに仕事を奪われると言われたホワイトカラーは、どんどん分が悪くなってきている。複数人に発注しなくてもクラウド上やデスクトップ上で仕事が完結し、マネージメントが必要なくなって来ているからだ。一方で、世の中には投資・投機マネーが余っている。それゆえAI時代を生き抜くひとつの方法として、ホワイトカラーからマルチカラーになるために、起業することを強くすすめたい。20代はもちろん、たとえ30代以降でもまったく間に合う。ただし、それにはいくつか条件がある。

収支を把握し、資金調達するため数字を読めることは武器になる ©iStock.com

 まずは、BS・PL(財務諸表)は読めたほうがよい。会計学の知識は必須だからだ。それから、貯金よりも借金ができる人間になること。私は研究費を無駄に使うタイプではないが、やりたいプロジェクトに対してラボのお金が足りない場合、節約するのではなく、調達するほうを選ぶ。ビジネスとしてスケールさせて、リターンを返せばよいという考え方だ。そのためには、投資に値する信用される人間であることが必要だ。

 Ph.D(博士号)も取っておくとよい。高度な専門性の証明となる。ハーバードやMITならハクがつくが、日本やアジアの大学でも問題ない。もしお金がないのなら、借金すなわち奨学金を利用してでも、学費を調達すべきだ。

会社を辞められないときは?

落合陽一氏

 そして、自動運転関連や機械学習関連のような、いち早く予測して空いている分野に参入してポジションを取ること。

 起業に便利な会計ソフトなどのITツールは、どんどん使うべきだ。AIもその特性を理解したうえで活用したい。使えば使うほど、あなたのやり方を学習するから、2カ月、3カ月たつと、驚くほど仕事が楽になるだろう。

 さらには、古い時代の金融ステータスは、これからも本当に合理的か疑うべきだ。たとえば、ローンを組んで家を買うことを当たり前と思っている人は多いが、実際は借家のほうがいまや有利である。以上が、起業に必要な条件である。

 とはいえ、すべてのビジネスパーソンが起業できるわけではないだろう。古い業態の会社に勤めており、辞められない場合はどうするか。そんな人は、もしこの部分を新しくしたら多くの人が楽になるのにな……ということにいち早く気づき、社内で新規事業として立ち上げればよい。たとえば銀行で働いていて、ビットコインが流行っていると分かったら、新しい預金システムを行内でつくることを提案してみてはどうか。雇用契約の問題で社内では不可能となった場合は、副業として自分で起業すればよい。

 たとえ会社員であったとしても、ポートフォリオワーカー志向とフリーランス思考が、AI時代を生き抜くために重要となってくる。