文春オンライン

ユニクロ潜入・横田増生×東京新聞・望月衣塑子 「ふざけんな!」から取材は始まる

対談 ジャーナリストの“嫌われる勇気” #2

僕も今度、官房長官の記者会見に行ってみようかな

――質問回数が制限されて、質問の仕方を変えましたか?

望月 そうですね。質問を重ねられないので、聞きたいポイントを説明しきってから聞くようにしています。これだと、どうしても「質問が長い」と注意されちゃうんですけどね。

横田 官邸の記者会見って、フリーの記者も入れるんですよね。たしか、フリーの女性記者の方が望月さんがらみの妙なことを聞いてませんでしたか?

ADVERTISEMENT

望月 私がテロ関連の質問をしたあと、「菅さんはいつもテロに遭っておりますが」という質問がありましたね。それ、私のこと言ってるな、って(笑)。

 

横田 僕も今度、官房長官の記者会見に行ってみようかな。ユニクロは自浄努力があったのか、経営は良い方向に変わっていきましたが、取材を受けないということでは一緒ですね。ただ、ユニクロは一私企業だけど、政府はそうじゃない。国民の税金で動いているのだから、記者からの質問にはちゃんと答えろってことですよね。

望月 いやもう、この勢いでぜひ潜入していただきたいですね(笑)。

官邸の意を汲んで、メディアに対するクローズが進んでいる

横田 でも、さっき伺ったように番記者以外への締め付けはきついんでしょう。

望月 民主党政権時代に、登録した記者はフリーでも官邸の会見に入れるようになったのですが、今は締め出すようになっています。新たに登録を申請しても、過去に記事を書いた実績のある方でも、なかなか通らないと聞きます。私たち新聞記者は会見に入れるパスが発行されていて、一時期は社会部の記者もみんな持っていましたが、全部官邸に回収されました。

横田 回収ですか。

望月 1年以上出入りしてない記者は、自然消滅です。新たなパスはもうほとんどクラブに所属しているメディアの記者にも出しません。だから、基本的に入れない方向なんですよ。しかもこれは官邸だけじゃなく、法務省や検察庁も同じなんです。検察庁は、久方ぶりに行ったら、昔は開けていた場所が閉められていました。会見も以前は毎日やっていたのが今は週1回とか、夕方の5時から30分だけとか。全般的に、メディアに対するクローズが官邸の意を汲んで全霞が関クラブの中で進んでいると感じます。

 

横田 そういう閉じられた場所にこそ行って質問してみたいものです。「ふざけんなよ、なんだよ、答えろよ」みたいな。急にガラが悪くなっちゃうかもしれないけど(笑)。

――とはいえ、横田さんとは今日初めてお会いしましたが、こんなに人当たりの良い方だとは思いませんでした(笑)。さすがユニクロでレジ打ちをされていた方だと。

横田 ユニクロでもAmazonでもヤマトでも現場に溶け込んでいましたからね(笑)。