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実は“工作員”か? 北海道に漂着した北朝鮮船の「正体」

雪の降りしきる中の逮捕劇 ©共同通信社

「逮捕の際に、かなり激しく抵抗し、現場で怒声が飛び交った。ようやく乗組員の身柄を確保したのは、着手から2時間後でした」(地元記者)

 12月9日朝、北海道警は北朝鮮籍の木造船の船長ら3人を窃盗容疑で逮捕した。

 この木造船が北海道南部の無人島・松前小島に漂着しているのが確認されたのは、先月28日のこと。

「船には10人が乗り込んでいました。海上保安部の事情聴取に対して、船長は当初、『いか漁の途中で、かじが壊れて、流された』と話していました」(同前)

 ところが後に、乗組員らが島の地元漁民の避難小屋から、発電機、テレビ2台、冷蔵庫3台、ミニバイクなど800万円相当を持ち出していたことが発覚し、事態は一変。

「木造船のプレートには『朝鮮人民軍第854部隊』と記されていました。普通の漁船なら、より多くのイカを詰め込めるよう乗員は3人程度。10人は多過ぎるし、漁具もほとんど積んでいなかった。道警の任意の聴取に対して、盗んだものを北朝鮮に持ち帰るつもりだったと供述しましたが、だとしたら、“かじが壊れた”というのはウソだったことになる」(道警関係者)

 捜査員に矛盾点を指摘されると、乗組員たちは黙秘するようになり、6日には聴取そのものを拒否したという。

「その2日後、彼らは木造船を係留していた海上保安部の巡視船のロープを切断、エンジンをかけて逃走を図った。約1時間後に再び海保が確保しましたが、この逃亡騒ぎにより、道警は逮捕へと踏み切ったのです」(同前)

 果たして、彼らは何者で、いかなる目的で“密入国”したのか。

「彼らの正体が工作員であったとしても驚きません」と語るのは、公安関係者だ。

「漂着後、救助を求めることもなく、約10日間も滞在したのはなぜか。彼らは島でソーラーパネルも盗んでいますが、エネルギー不足の北朝鮮にとって、太陽光発電は重要な技術です。島の小屋ではなぜか海水のろ過装置やボイラーなどを破壊。さらに日本近海の詳細な海図も持っているなど、謎が多い」(同前)

 だが、逮捕された3人を含む10人の乗組員らは、「密入国や窃盗などの容疑で強制送還される可能性が高い」(前出・地元記者)という。