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連載THIS WEEK

保守王国鹿児島で番狂わせ
三反園新知事の恍惚と不安

source : 週刊文春 2016年7月21日号

genre : ニュース, 政治, テレビ・ラジオ

約8万票の大差で当選
Photo:Kyodo

 7月10日、参院選と同日に行われた鹿児島県知事選は、新人の元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓(みたぞのさとし)氏(58)が4選を目指した現職の伊藤祐一郎氏(68)を打ち破る波乱の展開になった。

 三反園氏は、テレビ朝日に入社すると、政治部が長く、90年代には「ニュースステーション」に出演した。「国会の三反園さーん!」と久米宏に呼びかけられ、国会記者会館からリポートしていた、あの人物だ。

「安倍晋太郎幹事長を担当し、小沢一郎氏とも親しく、エースの呼び声も高かった。ただ10年以上前に他局の番組に出演中の女性タレントに手を出したという噂などが流れたことで状況が一変。政治部長間違いなしと言われていたが、結局なれず、60歳を前にして、昨年末に出馬を表明。今年2月に退社しました」(テレ朝関係者)

 しかし最近はテレビ出演も少なく知名度は微妙。保守王国で自民党が推す現職知事が相手とあって、当初は苦戦が予想されていた。

「三反園氏が全国で唯一稼働している川内原発の一時停止と点検を訴え、反原発派の勝利とされていますが、実は伊藤氏への反発が非常に強かったのが本当の勝因。出陣式では地元議員たちを前に『自民党が頑張れば、私は当選する』と言い放ち、総スカンを食らいました。自民党の元県議会議長も三反園氏の支援集会で支持を呼びかけるなど保守票が野党側に流れてしまった」(地元政界関係者)

 東大卒で元総務省キャリア官僚の伊藤氏は、暴言でも有名だった。去年8月、県の総合教育会議の場で「女子にサイン、コサイン、タンジェントの三角関数を教えて何になる」と発言し、女性蔑視だと批判が殺到した。

 ただ、新知事の先行きは楽観視はできない。

「鹿児島は県議会の約8割を自民・公明が占め、衆参全ての選挙区で自民が当選している保守王国。川内原発の停止には、猛反発するでしょう。議会と対立すれば、ほとんどの議案が通らなくなる。三反園氏は野党、反原発の市民団体などから支持を受けましたが、原発については『廃炉を検討』と逃げ道を残している。公約に掲げた原発政策と自公が牛耳る県議会、バランスのとれた舵取りが求められます」(地元記者)

 新知事、川内原発、県議会――。この三角関係を解くには、やっぱり「三角関数」が必要なようだ。