昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載燃え殻さんに聞いてみた。

燃え殻
2017/12/30

今までにない1年を過ごした燃え殻さんが今年手に入れた「悩み」

燃え殻さんに聞いてみた。

Q 燃え殻さんが今年抱えた悩みは何ですか?

 燃え殻さん、今年もお疲れ様でした。『ボクたちはみんな大人になれなかった』の刊行もあり、いままでにないような1年だったと思います。そんな燃え殻さんが今年抱いた「悩み」は何ですか?(30代・男性・会社員)

A 悩みは1つ解消されると、2つ以上生まれてくるっていうことです

 6月30日に書籍が出版されました。間違いなく自分が生きてきて、一番大きな出来事でした。そして人に言えない大きな悩みを抱えることになりました。「本が売れなかったらどうしよう」。それが人に言えない悩みでした。人に聞かれたら、「自分みたいな人間が小説を出させて頂くだけでも有り難いです。売れるなんてそんなそんな。あまり売れないのも色々と関わって頂いた方々に申し訳ないのですが」ぐらいに答えていました。ですが、自分の中ではそれこそ心血注いで書いたものだったので、1冊になった瞬間は“これが否定されたら自分の人生が否定されたぐらいショックだ”と思ったのが正直なところです。

 ただ、それを人に言ったら(例えばツイッターに書いたら)、「偉そうなこと悩んでんじゃねえよ」と5秒で矢が飛んでくる悩みだということも理解していました。ですから、発売数週間前から、湯船につかって電気を消して、ジッと悩んでいました。

フリーズしそうなとき、思い出す根本敬先生の言葉

 発売から数日で、有り難いことに重版がかかったとの連絡が届いて、心からホッとしたのを覚えています。関わってくれた方々の、こいつを選んで間違ってなかったという顔を見れたことに、まずホッとしました。今でも新宿紀伊國屋に週に1度は行きます。2階の小説コーナーを何気なく周りながら自分の書籍を横目でチェックしたりしています。悩みは1つ解消されると、2つ以上生まれてくるものだということも実感した1年でした。

「で、次どうするの?」「やっぱりもう書けませんか?」「何でもいいので1ページだけ書いてみませんか?」「これで書かないなんてもったいないですよ」「これで書いたら実力がないことがバレますよ」「会社を辞めて挑戦すべきです」「あの小説はわたしが高校の頃に書いていたもののパクリです。謝罪してください」。とにかく矢継ぎ早にくるあらゆる反応が自分をフリーズさせました。最近はまた、湯船につかってジッとしながら悩んでいます。電気を消して、この1年に起きた出来事をジッと思い出しながら、動いた瞬間に矢が放たれる気配を感じています。でもそんな時、根本敬先生のあの言葉がフッとあたまをよぎります。「でもやるんだよ」

「でもやるんだよ」。来年も何卒よろしくお願い致します。

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム

ボクたちはみんな大人になれなかった

燃え殻(著)

新潮社
2017年6月30日 発売

購入する