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森岡 英樹
2017/12/25

楽天、携帯事業に参入 “大バクチ”の勝算

スポーツコンテンツに強みを持つ ©共同通信社

 楽天がNTTドコモ、au、ソフトバンクの携帯3強に次ぐ「第4の携帯電話会社」に名乗りを上げた。

「主力の楽天市場が伸び悩む中、三木谷浩史会長が大博打に打って出た印象です」(経済部記者)

 だが、株価は急落し、年初来安値に沈んだ。

「基地局設置などに最大6000億円を調達し、設備投資に回すと説明しているが、市場は投資負担はもっと重くなるとみている。ネットワーク構築にも時間がかかり収益を圧迫することは避けられない」(アナリスト)

 大勝負の背景にあるのが、Eコマース(EC)市場での激戦だ。日本の雄・楽天だが、世界的に見ればアメリカのアマゾン、中国のアリババなどに挟み撃ちにされ、むしろ“本土決戦”を余儀なくされそうな局面なのだ。

「楽天は利益の半分を、クレジットカードや銀行などの金融事業で稼ぐ。川上から川下まで押さえて、その間で動く金の手数料で稼ぐビジネスモデルです。ただ、今やECもパソコンからスマホにシフトしている。このまま座して死を待つより、携帯端末という究極の川上を押さえるために、打って出る決断をしたのでしょう」(メガバンク幹部)

 アマゾンやヤフーに加え、今後、上陸が予想されるのが、中国勢だ。

「アリババであり、テンセントです。楽天の携帯参入の真の狙いは、携帯3強との競争より、ECのライバルたちに勝つためと見ます。自社スマホを持つ独自のビジネスモデルで市場シェアを押さえる戦略でしょう」(同前)

 アリババは子会社が1月から大手コンビニのローソンと組み、訪日外国人観光客向けにモバイル決済サービス・アリペイを開始した。脅威は目の前にあるのだ。

 そんな三木谷氏の援軍となりそうなのが、安倍政権だ。

「安倍晋三首相や通信を所管する野田聖子総務相は、ネット系の財界人と近い」(財界関係者)

 今回、割り当てられる電波領域「4G」の配分だけでなく、さまざまな規制やルールが楽天有利に変わる可能性もある。三木谷氏は、EC、金融、スマホが三位一体となった独自の「楽天経済城」を築き、生き残ることができるのか。時間との勝負になる。