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トランプ政権にとって、2018年は「ひどい1年」か「最悪の1年」か

トランプ政権にとって、2018年は「ひどい1年」か「最悪の1年」か

選挙の強さ、動員力、共和党支持者への訴えかけの力が失われてきた

2018/01/01
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最大の懸案は北朝鮮の脅威への対処

 中間選挙で選出された議員は2019年1月から任期が始まるため、すぐに弾劾プロセスが始まることはないが、2018年中に捜査の結果が様々な形で報じられ、トランプ大統領のロシアとの共謀への関与が明らかになってくれば、弾劾目前としてレームダック状態になる可能性は高いと思われる。もちろん、そうした結果が出ない可能性もあるだろうし、中間選挙で上下両院とも共和党が多数となる可能性もある。しかし、この事件が世間を騒がせることは間違いないであろう。

 政権の足元がぐらつく中、トランプ大統領は様々な懸案を処理していかなければならない。その最大のものは北朝鮮の脅威への対処だが、これについては、2018年中に北朝鮮のミサイル開発がどこまで進展するかで状況は変わるとは言え、当面は制裁を強化し、中国の履行を求める、ということ以上のことはできないだろう。

中国訪問時には歓迎されたが…… ©getty

 その中国との関係においては、トランプ政権の支持者が最も懸念する貿易不均衡の問題にどう対処するか、という点が注目される。トランプ政権は中国に対して厳しい姿勢を取る方向に舵を切ったとみられるが、中間選挙へのアピールとして中国との通商交渉をまとめ、貿易不均衡を是正する措置を実効的にしていかなければならない。しかし、中国はトランプ政権の要求を真正面から受け止めるつもりはなく、のらりくらりとかわしながら、実効性のある措置はとられないだろう。

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 同じく貿易問題として、NAFTAの再交渉についても何らかの結論を出さなければいけない状況にあるが、足元が弱まっているトランプ政権の交渉能力は限られている。強硬な姿勢を見せてもメキシコ、カナダともアメリカの要求に十分応える姿勢は見せていない。

 このように、トランプ政権の行方にはあまり明るい材料がなく、2018年は暗雲が立ちこめる1年になる可能性が高い。2017年末にまとまる可能性のある減税策が何らかの効果を生み出し、アメリカ経済が好調を維持し、雇用を創出していけば、暗雲を吹き払う可能性もあるかもしれない。しかし、ダウ平均が史上最高をマークしてもトランプ大統領の支持率は一向に上がらず、むしろ40%を切る状態がずっと続いている現状を見ると、経済指標の良さが支持に結びついていないことがわかる。トランプ政権にとっての2018年は、単なる「ひどい1年」で終わるのか、それとも「最悪の1年」になってしまうのか、二つの選択肢しかないように思える。

トランプ政権にとって、2018年は「ひどい1年」か「最悪の1年」か

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