昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

西アフリカからの刺客・ゾマホンの勝負やいかに? 7カ国対抗! 外国人新春句会【牡蠣編】

芭蕉の家で俳句対決!

source : 文藝春秋 2010年2月号

genre : エンタメ, 読書, アート

金子 ちょうど1年前に、日本語で活躍されている外国人の方々に集まっていただいて開催した「外国人句会」。ずいぶんと評判がよかったらしくて、第2回を行うことになりました。前回参加のビナードさん、楊さんも顔を見せていますが、皆さん気楽にやりましょうや。句会は遊びの場でもあるわけですからね。

『奥の細道』スタート地点で俳句バトル!

宗匠・金子兜太さん(俳人・日本代表)

ビナード 去年は正岡子規が病床にありながら句を作り続けた場所、根岸の「子規庵」で行いましたが、今日は深川の「芭蕉記念館」です。

金子 松尾芭蕉が37歳の年に居を移したのがここ深川なんです。『野ざらし紀行』から『奥の細道』に至るまでの生涯5回に及ぶ旅はすべてこの「芭蕉庵」から始まった。

モレシャン 芭蕉といえば「古池や蛙飛びこむ水の音」でございますね。

金子 その句も芭蕉庵で作られました。「野ざらし紀行」から帰ってきて芭蕉の句風が変わるんですな。それで古池の1句は後に「蕉風開眼の句」と呼ばれることになるんです。

芭蕉の弟子、金子兜太の弟子

 孔子さまは『論語』のなかで「孔門十哲」と呼ばれる優れた弟子を紹介していますが、芭蕉にはどんな弟子がいたのですか。

金子 蕉門十哲というのがおりました。10人の数え方は様々な説があるんですが芭蕉没後の江戸俳諧を背負った宝井其角(きかく)や「奥の細道」に付き添った河合曾良(そら)などです。

ビナード リンズィーさんは俳人として実績をあげ、句集には金子先生の推薦文も添えられているけれど、曾良みたいな優れた弟子ってこと?

金子 ソラ違うな(笑)。妙に親しいだけ。オーストラリア出身。

リンズィー 今日は戦略的に句をひねってきました。

金子 よし、熱のこもってきたところで俳句バトルを始めよう。まずは「牡蠣」のお題で2句作ってきてもらいました。私の2句を入れて全部で14句。これらをシャッフルして編集部に清書してもらい、回覧します。いいなと思った句を3句選んでください。1人だけが選んだら1点句、3人が選んだら3点句。点の多かった句から合評していきます。では牡蠣14句お披露目。

牡蠣の句、14句

14句お披露目

牡蠣の岩浮遊するもの食ひつくす

かきをたべからだのそこからちからわく

朝日を浴びて生牡蠣食べてお別れだ

能登の牡蠣食べて心は里帰り

牡蠣食えば殻を放流隠岐の旅

エッフェル塔みながら牡蠣にあたりけり

牡蠣あたる牡蠣あたらない宝くじ

品切れで生牡蠣喰えぬから嘆き

牡蠣食べてモンパルナスの日が暮れる

葱ポンズ火に立つ香り牡蠣うまし

牡蠣にレモン沖にゆっくり月の顔

ふゆのなべかきがなくてはものたりない

牡蠣か柿かここは迷わず広島湾

牡蠣食って殻の命脈しばし読む