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あの姜尚中が俳句デビュー! 6カ国対抗! 外国人新春句会【蜜柑編】

想定外の激論に「ちょっと待ってください」

source : 文藝春秋 2011年3月号

genre : エンタメ, 読書, アート

金子 日本語が達者な外国人の方々と俳句を愉しむ毎年恒例のこの企画。評判で、3回目を迎えました。私も今年92になるけど、この句会は刺激があるから愉しいんだ。初参加は姜尚中さん。テレビでよく顔見てますよ。

 生まれは熊本で本名は永野鉄男です。でも今から38年前、22歳のときに、思うところがあって姜尚中を名乗りました。「外国人句会」ということですが、ルーツである韓国には並々ならぬ思いがありますし、構いません。私は俳句が好きですし、喜んでお招きにあずかりました。

ジローラモさんが道に迷ってまだ来ねえんだ

姜尚中(政治学者・韓国代表)

金子 よろしく、よろしく。それでもって姜さんのお手並みを早く拝見したいんだが、ジローラモさんがまだ来ねえんだなあ。

モレシャン イタリア人は時間にルーズですね(笑)。

金子 前回はジローラモさん「紅葉みて女と飲んでいい風邪ひいた」って句を詠んでましたな。今、車で道に迷ってるらしい。

ビナード もしかして途中で出会ったキレイドコロに迷ってるかも。 (ここでジローラモ到着)

ジローラモ 遅れてすみません。

 すごいカッコいいクルマに乗ってるんでしょ。

ジローラモ まあね。エンジンがすごいんだ。

蜜柑の句、12句お披露目!

金子 へいへい。それでは、みなさんのエンジンも温まったところで句会開始と行きやしょう。

 今日は冬の季語「蜜柑」を題にして、2句ずつ作ってきてもらいました。私の2句もあるから全部で12句。無記名で書かれた12の短冊を編集部がシャッフルして清書し、それをみんなで回覧します。いいなと思った句を3句選んでください。3人が選んだら3点句、1人だけなら1点句。高得点句から合評していきます。自分の句に点数入れちゃだめですよ。では蜜柑の句、お披露目。

 

 手に落ちて月と思えば蜜柑なり

 みかんがり冬の初恋熟した

 マンダリン幼き日々の夢遠く

 蜜柑食べる直木三十五(さんじゅうご)の真面目

 友来たりみかんひと箱春近し

 蜜柑むく母のやさしさ切り炬燵

 みかんがりきみのくちびる甘酸っぱい

 水仙と蜜柑と犬の間抜け面

 鏡餅蜜柑を載せて初日の出

 初恋の面影誘う蜜柑の香

 漁港に浮く蜜柑の皮や今日も時化

 乗り継げば在来線に蜜柑の香