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ジローラモvs.姜尚中“モテ句頂上対決”? 6カ国対抗! 外国人新春句会【蒲団編】

おねしょをしたのは、誰だ?

source : 文藝春秋 2011年3月号

genre : エンタメ, 読書, アート

宗匠役に俳人・金子兜太を迎えた外国人句会。姜尚中の俳句デビューに沸いた【蜜柑編】に続く2回戦の季題は「蒲団」。異色の6カ国対抗俳句バトル、スタート!

蒲団の12句、ご披露!

 2回戦は「蒲団」が季題ですね。「毛布」でも可ということでしたが、なかなか頭をひねりました。

金子 姜さんの作風もなかなか面白いし楽しみだ。では12句お披露目。

 

 蒲団に猫毛布に犬と御主人と

 猫と吾と蒲団幾重も境なく

 癌に逝く友の脱け殻敷き蒲団

 積もる雪夢見る熊の蒲団かな

 猫も知るふかふか布団の気持ちよさ

 一目惚れの人が温める布団かな

 東雲などと蒲団から顔出している

 酷似する毛布と領土の奪い合い

 蒲団上げ世界を描くわが粗相

 雪の日に蒲団のなかで湯たんぽ

 眠る古都心温もる雪布団

 夢うつつ蒲団隔てる世が二つ

©iStock.com

「熊は雪を蒲団にしないよ」「だから夢見る熊なんだ」

金子 最高点句が4点句「積もる雪夢見る熊の蒲団かな」。ジローラモさん、姜さん、モレシャンさん、私がいただきました。

ジローラモ 熊が出てきて面白い。

 意外性ですよね。

ジローラモ 雪が蒲団になっている感じにも読めて、冬眠している熊にかかる雪があったかいと想像させる。

ビナード 熊は洞窟か大木の穴で眠る。雪を蒲団にする個体は少ないよ。

金子 いや、だから夢見る熊なんだ。実際に雪をかぶっているわけじゃない。外は雪だなあって穴の中で思っている。そして積もる雪が蒲団のようだと言うんだ。

 でも私はこの句、ちょっと単純かなあって思った。

楊逸(作家・中国代表)

金子 2回戦目は最後に作者を明かすことにして、次は3点句「夢うつつ蒲団隔てる世が二つ」にいこう。私と姜さんとビナードさんが取った。

ビナード 夢とうつつ、その境目が蒲団であると、蒲団を哲学してる感じが面白いなあと思った。でもちょっと頭でっかちな句かもしれない。

金子 そうだね。こういうのを我々は観念的というんだけど。

モレシャン 私には響かなかった。突き詰めて考えても、漠然としてて、結局よく分からない句でした。

ジローラモ 私もよくわからなかった。ただ日本に来てすぐの頃、蒲団で寝ていたんですが、いつも寝相が悪くて蒲団から出ちゃって、畳の上で寝てたってことは思い出したけど。

金子 畳へゴロっと行って、また蒲団に戻ってくる、そんな2つの世がある、というふうにも読めませんか。

ジローラモ ああ、それだったら取ったかもしれない。