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18年目のプーチンロシア 大国を占う5つの論点

2018/01/03

 近年、国際的な存在感を高めつつあるロシアだが、その今後を見通すにあたり、最も大きな影響力を持つのが米国との関係だ。

論点1 ロシア・ゲート、対露制裁 対米関係はどこまで冷え込むか

 ロシアは、2014年のウクライナ危機以降に極端に悪化した対米関係改善の望みをトランプ政権に託したが、ロシア・ゲート疑惑によってこれは潰えた。また、2017年には対露制裁強化法が成立されたことで制裁をトランプ大統領の独断で解除できなくなったほか、新「国家安全保障戦略(NSS)」ではロシアは中国と並ぶ主要な挑戦者と位置付けられるなど、米露関係の基本的な見通しは今後とも厳しい。

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 ただ、その範囲内において、米露関係がさらに緊迫したり、あるいは一定の雪解けムードとなるといった余地は考えられよう。たとえば米露間では、ウクライナへの平和維持部隊導入の議論が始まっている。現状では米露の立場があまりに大きく隔たっているために話はなかなか進んでいないが、ここで落とし所を見つけられれば、中長期的な関係立て直しの第一歩は築けるかもしれない。

 もうひとつの対立点であったシリアでは、ロシアは軍事拠点の強化や復興事業への参画などを進めており、手に入れた利権を手放す気配はない。ただ、ISの壊滅に伴ってシリアに展開する戦闘部隊の数はある程度削減される見込みであり、米国がアサド大統領の退陣を言い出さなくなったこととも相まって、中東でも一定の緊張緩和が起きる可能性もある。

論点2 ロシアが北朝鮮をかばう理由

 ウクライナやシリアと並ぶもうひとつのホット・スポットが朝鮮半島であるが、2017年に高まった緊張はおそらく今後も続くだろう。北朝鮮の目的が核抑止力の確保による体制の存続保障なのだと考えた場合、ある程度実用的な核抑止力体系(弾道ミサイル+核弾頭)が完成するまでは必要な実験を続けると推測されるためである。また、究極的にはそれが北朝鮮の主張するとおりの能力を有することを米国に対して実証して見せる必要もある。

 一連の危機ではロシアも大いに存在感を高めた。北朝鮮の核・ミサイル開発に反対する姿勢を示しつつ、中国と共同で北朝鮮への武力行使にも反対し、ダブル・フリーズ提案(米韓合同演習の停止と引き換えに北朝鮮も核・ミサイル開発を停止する)によって仲介者としても振る舞おうとしてきた。

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 ただ、北朝鮮との政治・経済的関係や地理的な近さは中国の方が圧倒的であり、ロシアは中国ほどの切迫感を北朝鮮問題に抱いているわけではない。ロシアが北朝鮮をかばうのは、北朝鮮そのものの存続に利益を見出しているという以上に、対米関係上の影響力としての価値を見出しているためと考えた方がよいだろう。かといってロシアには北朝鮮を従わせるほどの経済力があるわけでもなければ、有事に介入しうるほどの軍事力も極東には配備していない。この意味では、ロシアは重要だが決定的ではないプレイヤーという役回りを2018年も演じることになろう。

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