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18年目のプーチンロシア 大国を占う5つの論点

18年目のプーチンロシア 大国を占う5つの論点

2018/01/03
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論点5 対日関係「イージス・アショアは戦略的安定性を毀損する」の真意とは?

 最後に日本との関係についても考えてみよう。大統領選が終わればプーチン大統領は日本への姿勢を軟化させてくるのではないか、という見方もあるが、筆者は同意しない。領土問題で妥協する意思がロシア側にそもそも乏しいことに加え、日本を「米国の同盟国」として見るロシアの不信感は極めて根深い。

2017年9月7日 ウラジオストクでの日露首脳会談 首相官邸HPより

 しかも2016年ごろから、ロシアは安全保障問題を日本に対する一種の揺さぶりとして利用するようになっている。日本が導入するミサイル防衛システム「イージス・アショア」について「戦略的安定性を毀損する」などと主張し始めたことはその一例である。最大限悪意をもって解釈した場合、日本から経済協力を引き出しつつ(ロシアはこれが「協力」であることも絶対に認めようとしないが)、安全保障問題を盾に領土交渉を引き延ばそうとするのがロシアの戦略であると考えられる。

 世界的大国であろうとしながらも基礎体力がそれに付いてこないロシアは、常に正攻法と搦め手の混合によって外交・安全保障を全うせざるを得ないというジレンマを抱えている。この意味では、2018年の世界情勢においてもロシアは台風の目であり続けるだろう。

ウラジオストクの柔道日露交流ジュニア大会を観戦するプーチン大統領 首相官邸HPより
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