文春オンライン

「法人化したら万事解決、というわけではないらしいです」漫画家・服部昇大が『恋はインボイス』を描いたワケ

漫画家・服部昇大さんインタビュー#1

2022/08/12
note

『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(ホーム社)を連載中の漫画家・服部昇大さんによる「インボイス制度」を解説したラブコメマンガ『恋はインボイス』が大きな反響を呼んでいます。

 インボイス制度とは、2023年10月から始まる「適格請求書」制度のこと。これまで原則、納税が免除されていた、年間売上高1000万円以下の事業者にも消費税の納入が課されるようになり、フリーランスや個人事業主の間で、制度導入に賛否両論が巻き起こっています。作者の服部さんに、お話を聞きました。(全2回の1回目/後編に続く

◆◆◆

ADVERTISEMENT

──なぜ、一般のサラリーマンや企業にとってはあまり馴染みのないインボイスをテーマにしようと思ったのですか?

服部昇大さん(以下、服部) 「COMIC OGYAAA!!」という新しいコミックサイトオープン記念として、お祭り感のある作品を描いてほしいと頼まれたときに、ちょうど自分のまわりのフリーランスや小規模事業者の間で「インボイス」が盛りあがっていたからです。これはマンガにできるかも、とテーマに選びました。

©服部昇大/ホーム社

──編集部の反応はいかがでしたか?

服部 はじめは、担当編集さんから「かなり読者を選ぶ内容になりそうですね……」みたいな塩対応をされました(苦笑)。世間のサラリーマンとフリーランスとの温度差を感じましたね。

 でも、絶対に関心のある人はいるはずだし、制度が始まるといわれてもまだ他人事のように感じている人も多いので、具体的に何をどうすればいいのかをマンガでわかりやすく説明できたら、たくさんの人から反響があるのではないかと強くアピールして、描かせていただくことになりました。

「個人事業主BtoBギャグ」とは?

──扉に「個人事業主BtoBギャグ」と描かれていますよね。これはどういう意図があるのですか?

服部 あれは、あおり文句です(笑)。世の中でインボイスに興味を持つ層って絶対的マイノリティで、最初に提案したときの担当編集さんの反応がおそらく一般的なんですよ。でもあえて「これ、業界向けだから」みたいな一文を入れたら、逆に面白いかもと、狙って入れてみました。

©服部昇大/ホーム社

──結果的にはTwitterで5.4万いいね、2.1万リツイートのバズ投稿となり、インボイスの周知にも、「COMIC OGYAAA!!」の認知向上にも大きく貢献されたので、狙いは成功しましたね。

服部 ありがとうございます。担当さんにも「編集部の読みが甘く、大変失礼しました」と言っていただきました(笑)。