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相模原事件・殺人容疑で再逮捕
佐藤一麿の知られざる異常性癖

source : 週刊文春 2016年3月3日号

genre : ニュース, 社会

大学中退後はスタバでもバイト

 遺体発見から約8カ月。謎多き事件が、ここにきて新たな局面を迎えている。

 相模原市の墓地に埋められていた阿部由香利さん(当時25)に対する殺人容疑で、警視庁は、元交際相手の佐藤一麿(30)を再逮捕した。“フジテレビ局員”を騙っていたこの虚言癖の男は、先立って死体遺棄罪の有罪が確定。同罪で公判中の秋山智咲(24)も殺人幇助容疑で再逮捕されたが、自供や直接証拠がない中、本丸の立件に至った経緯を捜査関係者がこう語る。

「遺体の腐敗で死因は特定できなかったが、首の内出血の痕から頸部圧迫による窒息死が疑われた。殺害時期は2013年6月10日頃。その日を境に殺害現場と思われる被害者のアパートの使用痕跡が途絶えていた。前日には、佐藤が当時の恋人だった秋山に大量の睡眠薬を購入させており、遺体から同種の睡眠薬成分が高濃度で検出されている」

 睡眠薬の購入先のひとつが相模原に隣接する山梨県上野原市。秋山には遺棄現場の下見も兼ねさせていた。

「計画性があり、当時の諸状況からも、殺害できたのは佐藤以外にいない」(同前)

 だが、現状は状況証拠の積み重ねに過ぎず、肝心の殺害動機すら全く見えてこない。

 さらなる謎は、殺害の3週間前、佐藤がわざわざ“遺体保管用”のマンションを秋山に借りさせていたことだ。部屋の鍵は佐藤が持ち、秋山にはこう説明していたという。

「吉本(興業)の社長が飼っていたトラが死んだ。違法なので処分を任され、引き取った」

 ここに移した阿部さんの亡骸を2人が遺棄したのは同年7月下旬。その後、部屋はただちに解約されたが、遺体を運び出す際に異臭騒ぎを起こしたことが2年後の逮捕の足掛かりとなる。遺体を“保管”した意図は何なのか。

 佐藤には、事件との関連性は断定できないものの、秘された特殊な嗜好があった。事情を知る人物が明かす。

「佐藤は生き物の無残な死に様に興奮を覚える『クラッシュ』という性癖の持ち主。殺人フィルムや汚物についても強い興味を持っていた」

 一方、阿部さんの長男も07年の秋以降、消息を絶ったまま。長男は当時1歳。佐藤と阿部さんが交際を始めた年のことだ。佐藤が完黙を続けているいま、真実はまだ僅かな断片をみせたに過ぎない。