文春オンライン

連載テレビ健康診断

「ごごナマ」の美保純は「NHKの一線」を越えてしまった――青木るえか「テレビ健康診断」

『ごごナマ』(NHK総合)

2018/01/03
note

 NHKはさいきん(もう言い飽きた感もあるが)「NHKらしからぬ」番組で攻めてるとか言われる。『ねほりんぱほりん』や『バリバラ』みたいな、“今まで目をそむけてたものを、まっすぐな視線でバラエティにしてしまう”ようなやつ。あと、大河でクドカンでオリンピックってのも「大河でもそんなことやるNHKスゴイ!(と言ってほしい)」感がぷんぷんする。

 でも、「今ほんとうにNHKらしくない」のは『ごごナマ』だと思う。『ごごナマ』の美保純である。月~木の司会をやっている。チャンネル回して彼女を見るたびにびっくりしてしまう。

『スタジオパーク』の後継番組というか、NHKの「夕方情報ワイド番組」的なやつ。ま、よくあるスタジオでのトークです。彼女がスタジオの応接セットみたいなとこにべしゃっと座ってべらべらしゃべってる様はどう見たってNHKではない。美保純の家の居間にしか見えない。

ADVERTISEMENT

 どんなに「NHKらしからぬ」ことをやっていてもNHKの番組には「NHKとしての一線」みたいなものがあったように思うが、美保純の有り様はその一線を超えている。

 こう書くと、「NHKの一線」が正しいものと言ってるみたいだけど、別にそんなことはなくて、たいした意味も意義もなく頑なに守ってただけのものを、ひょいと乗り越えた純ちゃん、という感じである。その「一線」、うまく説明できないが、「テレビを“ちゃんとしたもの”として考えている」かなあ。で、純ちゃんは「テレビの場とか意識してない下世話さ」みたいな……って、やっぱりダメみたいに聞こえるなあ。「自宅感覚」とでも言い換えるか。NHKのスタジオを自宅化する美保純を私は応援している。

2013年の東京国際映画祭に登場した美保純 ©時事通信社

 いわゆる「凄い」と言われるマツコ・デラックスでも平野レミでも、NHKの番組に出た時は「NHKの結界の中に収まって、結界の中でのあばれっぷりが話題」になる。スゲエなーと思いながらも安心して笑ってられる。でも美保純は結界をズケズケ破って平然としてる。こっちはびっくりして見なかったことにしたくなり、だからかえって話題にならない、みたいな。うーん、言えば言うほど美保純を貶めているみたいだ……そうじゃないんだ。

 あと、美保純、スリムというかスキニーなパンツをよくはいてて、それも「居間感」をいや増している。いっぺん、見てみてください。

▼『ごごナマ』
NHK総合 月~金 13:05~16:00

「ごごナマ」の美保純は「NHKの一線」を越えてしまった――青木るえか「テレビ健康診断」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー