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連載今夜も劇場へ

中谷美紀が女盗賊を演じる『黒蜥蜴』の耽美な世界――今夜も劇場へ

2017/12/29

 先日、花組芝居の『黒蜥蜴(くろとかげ)』を観たが、今度は江戸川乱歩のこの作品がデヴィッド・ルヴォーの演出で公演される。花組芝居版は三味線のジングルベルで始まり、浄瑠璃が語られる加納幸和の脚本であり、加納自身が妖艶な女賊を演じた。これに対し、ルヴォー版は三島由紀夫の脚本で台詞の詩的な美しさが注目される。

 黒蜥蜴・緑川夫人を演じるのは中谷美紀。立ち姿が実に華麗である。中谷は『猟銃』(二〇一一年)で、妻、愛人、その娘の三役を演じ、それぞれ雰囲気の異なる美の様相を提示した。三島の脚本では、黒蜥蜴と明智小五郎との恋愛感情が強調されている。明智を演じるのは井上芳雄。『陥没』で見せた切れの良い台詞の印象が強い。

 ルヴォーは九〇年代に東京でも活躍した英国人演出家で、陰影に富んだ緊迫した空間を創出することで知られる。アンサンブルでは宮菜穂子と滝沢花野が見どころ。

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INFORMATION

『黒蜥蜴』
江戸川乱歩原作、三島由紀夫脚本、デヴィッド・ルヴォー演出
1月9日~28日、東京・日生劇場にて
2月1日~5日、大阪・梅田芸術劇場にて
http://www.umegei.com/kurotokage/