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平昌五輪SOS――チケット売れず、ホテル埋まらずの実態

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 さらに冬季五輪随一の人気競技・アイスホッケーでも問題が生じている。

「北米のNHLはリーグ戦の日程と重なるとして、すでに不参加を表明。ロシアを中心としたKHLは、IOCによるロシア選手団出場禁止処分に反発し、不参加を検討しています。二大リーグ不参加となれば、チケットがさばけなくなる可能性もある」(オリンピック情報専門サイト『ATR』編集長・エド・フーラ氏)

 米NBCスポーツには〈平昌五輪のアイスホッケーは、ジュニア世界選手権のように感じられるだろう〉と報じられる始末だが、実は韓国には“奇策”がある。

「何と海外の優秀な選手を“新韓国人”として特別に帰化させたのです。男子アイスホッケーチーム25人中、7人が米国やロシア、カナダの出身。バイアスロンなど他の競技にも、“新韓国人”がいます。マスコミは『国際化』と美化していますが、『そこまでしてメダルを取りたいか』と反発する国民も多い」(前出・韓国人記者)

アイスホッケー韓国代表の面々(朝鮮日報より)

 だが、チケット転売サイトを見てみると、アイスホッケーのチケットは、原価のままでも買い手がついていない状態だ。

「アイスホッケーでこの状態ですから、他は言わずもがな。とにかくチケットが売れていない。直近の韓国国内のアンケートでは五輪に関心があると答えた人は45%で、競技場で観戦すると答えた人は5%にとどまっています」(同前)

 前出のフーラ氏が解説する。

「平昌五輪の場合、ウィンタースポーツのファンが多い米国やヨーロッパから開催地が地理的に遠いので、国内での動員が重要になってくる。しかし、韓国人はウィンタースポーツへの関心が低く、国内客の動員が見込めないのです。人気があるのはショートトラックとフィギュアスケートくらい。後者も、金妍兒(キムヨナ)の後を継ぐスターが不在の今、関心が低迷しています」

 通常、韓国では国際的なイベントに際しては、民間企業によるチケットの“買い上げ”があるが、あの事件のせいで、今回はそれも鈍いという。

「いわゆる“崔順実(チェスンシル)ゲート”では、サムスンがスポーツ関連の補助金として出した金が、馬術をやっていた崔順実の娘に流れた疑いで捜査のメスが入った。民間企業が二の足を踏むのは当然です。かわりにチケットを“押し売り”されたのが地方自治体や公的企業です」(韓国政府関係者)

平昌市内の万国旗も空し ©文藝春秋

 ソウル市の10億ウォンを筆頭に、自治体などが合計で35億ウォン分のチケットを購入。販売率はようやく53%に達したが、今度は「チケットは売れても、観客がいない“ノーショウ”の懸念が生じました」(同前)。

 そこで、購入したチケットを低所得層に無料で配ることにしたという。

「スケートのチケットで15万~20万ウォン(約1万5000~2万円)くらいですが、そもそもチケットだけもらっても、彼らには会場まで行く時間もお金もない。地方から複数回、交通機関を乗り継いでたどり着いたとしても、今度は宿泊施設の問題が立ちふさがります」(同前)

 当初は、五輪特需を見込んだ周辺宿泊施設の宿泊費が高騰。通常、1泊5万~10万ウォン(5000~1万円)のモーテルが、10倍に値上がりする“ぼったくり”が問題になった。

「平昌近郊では、大学生にワンルームを貸している家主が、五輪期間中に観光客に高く貸すために部屋を空けさせたり、再契約を拒否するケースまで報じられました。そこで政府による行政指導が行われ、宿泊費は通常の1.5倍くらいに落ち着きました」(在韓国ジャーナリスト)