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平昌五輪SOS――チケット売れず、ホテル埋まらずの実態

文大統領は安倍首相に「来て」と懇願

 ところが、フタを開けてみれば、予想を上回る不人気ぶりに部屋が埋まらない可能性が出てきたという。

「大会2カ月前の時点で、周辺地域の宿泊施設の予約率はたったの12%。さらに組織委員会が関係者向けに配分する予定だった客室5500室をキャンセルしていたことがわかりました」(前出・韓国政府関係者)

 国際スキー連盟会長のジャン・フランコ・カスパー氏は、仏紙に対して「平昌オリンピックは成功しないだろう」と答えている。

「正直に言おう。平昌五輪の観客数には期待しない」

「2009年に韓国で開催されたスノーボードの世界選手権では、フィニッシュエリアにいたのは私を含めたったの三人だったことを覚えている」

 ついには、こう開き直ってしまった。

「現地に観客は多くは来ないかもしれないが、スポーツが広まるのは主にテレビ放送を通じてである」

「北朝鮮はわれわれと同胞だから」

 こうした声を組織委員会は、どう受け止めているのか。ソン・ベクユ組織委員会報道官に話を聞いた。

――チケットの売上が良くない。

「88年の五輪でも、02年のサッカー・ワールドカップでも、直前の購入が多かった。販売率もずっと急上昇しているんです。途中で崔順実ゲートがあり、国民が食傷気味だったこともあったかもしれませんが、開催時には過去の国際大会のように盛り上がると思います。大会の成功には支障はないでしょう」

――北朝鮮リスクにどう対応していくか。

北朝鮮はどう出るのか? ©共同通信社

「北朝鮮リスクは統一部や外交部が対応すべきこと。国連が五輪停戦決議を出すなど、国際社会が動いている中で組織委でやれることには限界がある。日本でそういったことがあったら、組織委にできることなんてないでしょう?」

――北朝鮮の選手団は参加するか。

「北朝鮮は、近年オリンピックに注力できていません。22年の北京冬季オリンピックでも、自力で出場権を得るのは難しいと言われています。IOCも支援すると言っているし、出場して経験を積んだほうが4年後のためになります。馬鹿でない限り、出場したほうがいいと思いますけどね。それに(我々と)同胞なんだから、わざわざ五輪を台無しにするのはおかしいんじゃないですか」

 ソウルから車で約2時間半。平昌の街を訪れると、大雪の中、人影はほとんどない。

「お客さんはあまり増えていませんね。外国人の方も、仕事で平昌組織委員会の関係者と一緒に来るくらい」

 メインスタジアム近くの食堂のオバさんはそう溜息をつく。お昼時にも関わらず広い店内に客はたったの2組。別の店では五輪を見越して、座敷席をすべてテーブル席に変えて準備は万端という。

閑散とした食堂 ©文藝春秋

「カナダや日本人のお客さんが少し増えました。大会が始まれば熱気がでてくると期待します」(従業員)

「嵐の前の静けさ」という言葉もあるが、雪が吹雪く中、バタバタと万国旗だけが騒がしくはためく様から、約1カ月後の熱狂を想像するのは難しい。