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2018年、僕らは新しい中田翔に出会えるだろうか

文春野球コラム 2017 to 2018

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役割を与えられ、中田は変わるのだろうか

 ただひとつはっきりしているのは、コインの表が出るか裏が出るか大変興味深いシーズンだということだ。中田翔が主将に指名されたのだ。読者は今オフ、西川遥輝の契約更改時のエピソードに注目されなかっただろうか。大幅アップ(推定6000万増の1億6000万といわれる)の金額面の話はほんの数分で終わり、ほとんどの時間はチームの今後についての意見交換に費やされた。西川は中田・新主将に関し、こんな要望を出したと報じられている。

「僕たちが中田さんをサポートするのは違う。僕たちをサポートするための主将。ストレスがかかるかもしれないけど、僕たちをサポートしてほしい」

 中田は昨シーズン、極度の不振に陥り、ベンチがピリピリするほど感情を露わにしていた。周囲に気をつかわせるのだ。また寂しがり屋の性格で、面倒を見てくれる後輩が必要になる。思いやりもあって、人一倍情に厚いタイプなのだが、これまで「主役」で生きてきた者に特有といっていい不器用さ、小回りのきかなさがある。「役割を与えると人は変わる」というが、中田は変わるだろうか。

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新主将就任が決定している中田翔 ©文藝春秋

 変わるのかもしれない。変わらないのかもしれない。コインの表が出るのか裏が出るのか。思い出すのはオリックス時代の糸井嘉男だ。移籍2年目だったか、人生初のキャプテンに任じられた。それは僕に言わせればミスキャストの最たるもので、糸井の良さが消えてしまうのだった。糸井は皆からいじられて、天真爛漫にふるまって、ひょいっとすごいことをするからいいので、キャプテンなんかになったら本人もまわりも苦労すると思った。

 中田はどうなのだろう。悪童時代に自ら決着をつけ、プロとして一段深みを身に着けるシーズンなのか。僕らは新しい中田翔に出会えるだろうか。これはある意味、清宮幸太郎以上に注目だ。

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2018年、僕らは新しい中田翔に出会えるだろうか

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