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影のMVPは順天堂・花澤だった――箱根駅伝2018「TVに映らなかった名場面」復路編

影のMVPは順天堂・花澤だった――箱根駅伝2018「TVに映らなかった名場面」復路編

 青山学院大の4連覇で幕を閉じた第94回箱根駅伝。筋金入りの駅伝好き集団「EKIDEN News」(@EKIDEN_News)の西本武司さん、駅伝マニアさん、ポールさんが、TVを見ているだけじゃわからない“細かすぎる名場面”を語り合う。復路編は6区山下り、シューズの話からスタート! (全2回 「往路編」も公開中)

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【6区】なぜナイキの新シューズをはかなかったのか

マニア 6区はやはり青山学院の小野田勇次。58分03秒と区間記録まであと2秒に迫る素晴らしい走りでした。金栗杯(箱根駅伝のMVP)は同じ青学で7区を走った林奎介に持っていかれましたが、青学優勝の起爆剤は小野田に間違いない。

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西本 僕は東洋大学の下りに注目していました。東洋はナイキの「ヴェイパーフライ4%」というシューズをこれまでもほとんどの選手がはいているのです。今までランニングシューズは薄いソールがいいとされてきましたが、その常識を覆す厚底のシューズなんです。それによって往路を制したといっても過言ではないのですが、実は東洋のなかで5区の田中龍誠選手、6区の今西駿介選手の山担当の選手だけ履いていなかったんです。山を下った後の平地は上り坂のように感じ、足が動かなくなるらしい。でも、ここが6区攻略の鍵でもあるのですが、ヴェイパーフライ4%を履いた選手に聞くと、山を降りて箱根湯本の駅を越えても脚が残っていると。それだけ山下りに適した靴なのに、どうして履かなかったのか。

ヴェイパーフライをはかなかった東洋6区の今西選手(左)

 ゴール後、大手町で関係者と「なぜ今西選手はヴェイパーフライを履かなかったのか」と話題になったんですが、あれは合う、合わないが分かれるシューズらしい。誰でも速くなれるというわけではなく、シューズの良さを生かせない選手もいる。多分、今西選手にはヴェイパーフライは合わなかったんじゃないかと。