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大根 仁
2018/01/08

大根監督、充実した40代を過ごすにはどうすればいいですか?

大根仁さんに聞いてみた。

Q 「40代になったらやるべきこと」って何ですか?

 40歳になったばかりの会社員です。最近、書店やコンビニに行くと「40代になったらやるべきこと」みたいな本が気になってしまいます。思えばこれまで目の前の仕事をこなしてばかりで、ちゃんとした目標や長期的計画も持たずに生きてきました。目についた“40代になったら本”を手に取ってみるのですが、書いてあるのは「趣味を充実させよう」とか「自分の半生を振り返ってみよう」みたいな、「そんな時間ねえよ!」と言いたくなるアドバイスばかりです。どうすれば充実した40代以降を過ごせるようになるのでしょうか? (40歳・男性・会社員)

A ひとつ言えることは「40代はメチャクチャ速ぇぞ!!」

 書店やコンビニ、電車内の中吊り広告でよく見るこのテの人生指南書の類に書かれていることはだいたい薄っぺらで、「言われんでもわかっとるわ!」ばかりのインチキ本がほとんどです。というか“やるべきこと”がわかっている人は、初めからそのことに取り組んでいるので、そもそもそんなもの必要ないのです。あなたの言う“充実した40代”ってのも、なんか実体がないというか、何をもっての“充実”なのかよくわかりませんね。

 ですが、今年50歳になる=40代を過ごしてきた立場から言わせてもらえば……「40代はメチャクチャ速ぇぞ!!」ということです。タイム感で言えば、20代の5倍、30代の3倍くらい……鈍行〜急行〜新幹線くらいの速さで過ぎ去って行ったように感じます。そして個人的にはとても充実した40代でした。深夜ドラマのディレクターから映画監督になり、何本かのヒット作を作り、海外の映画祭に呼ばれ、いくつかの賞をいただき、映像以外の仕事も拡がり、多少は世間に名前を知られるようになり、ちょっとだけ女のコにチヤホヤされ……そう! 40代でいちばん充実していたのは“チヤホヤ”でした!! 

『モテキ』でモテ期が来た

 10代〜30代までずっと地道に積み立ててきた“モテない貯金”が満額となり、おまけにとんでもない利子が付いて戻ってきたかのような……って、そこまでではありませんが、拙作ドラマ&映画『モテキ』のロイヤリティでいちばん大きかったのは、現実的な印税などではなく、仕事とプライベート同時にモテ期が来たということかもしれません。でもそれは、あなたと同じように目標も長期計画も立てずに、目の前の仕事をこなしてきてばかりの20〜30代があったからに他なりません。そしてそれは、自分で引き寄せたものではなく、誰かがその仕事を見ていてくれてフックアップしてくれたからなのです。

“自分で自分を幸せにすることはできない”は、名作漫画『自虐の詩』(業田良家)の名セリフですが、同様に自分の人生を自分で充実させることはできないし、もしできたとしてもそれは単なる自己満足でしょう。万物事象は相対的であり、価値観も然り。「そんな時間ねえよ!」その通りです。とんでもない速さで過ぎてゆく40代、立ち止まっているヒマなんかありません。これまでと変わらず、目の前の仕事をこなし、気づけば「うわ50歳かよ!」をお迎えください。

 え〜、ここで一つ訂正があります。“女のコにチヤホヤされた40代“と先述しましたが、具体的な関係にまで至ったことは一度もありませんでした。“モテない貯金”はいまだ積み立て中で御座います!!

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