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文春野球コラム

平田良介の成長なくしてドラゴンズの未来はない

文春野球コラム 2017 to 2018

2018/01/06

 もぉーいーくつ寝ると、なんて歌えば、何寝言言ってるんだい? 年が明けたばかりだろ! とお叱りを受けそうですが、いやいや決して間違ってはおりません。プロ野球人、そしてそのファンとすれば2月1日キャンプインがお正月。いよいよ2018年シーズンもあと一ヵ月に迫ってきたわけです。

 我がドラゴンズはご存知の通り、5年連続Bクラス継続中。OBの山本昌さんが地元ラジオ番組で“私が32年間ドラゴンズに在籍していて、2年連続Bクラスだったことはほとんどないです! だから5年連続なんて非常事態なんですよ!”と話していたことを聴き、改めて名門中日ドラゴンズは過去の話であり、今はただの弱小チームなんだと、なんとも言えぬ“ヤバさ”を実感したものだった。

 昨年の成績を改めて振り返ると、59勝79敗、借金20の5位というなんとも不甲斐ない成績。ただ交流戦を戦った6月だけをみれば14勝9敗と唯一勝ち越した月であり、この時の戦い方こそがまさに強かった時のドラゴンズ本来の姿であったのではないかと思えてならない。

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 荒木が2000本安打を放ったことから勢いがつき、又吉自身初となる完封勝利。大ベテラン岩瀬が見せた14試合無失点のナイスピッチングは見事12年ぶりとなる月間MVPに輝いた。そしてドラ1トリオの大活躍! ルーキー柳が亡き父親に捧げる父の日プロ入り初勝利から始まり、小笠原、巨人相手に8回まで無失点に抑えた好投。締めは鈴木翔の地元凱旋勝利。やはりベテランと若い力がかみ合えばチームは自ずと力を増していく。今季の戦い方の見本となるまさにそんな戦いぶりをドラナインは見せてくれた。

今こそノムさんが唱えた弱者の戦略を

 ドラゴンズが今年飛躍を遂げるシーズンにする為にはどうすればよいか。投打に故障者を出さないことは最低条件。昨年も波に乗りかけた6月以降、平田が抜け、ゲレーロが抜け、ビシエドが抜けと主軸打者が揃ってスターティングオーダーから抜ければそりゃ勝てません。あーそうそう、ビシエドは今オフにアメリカ市民権取得は必達だからね。頼むよ、ホント。ただ主力が抜けてもチーム力を持続するのがカープでありタイガースといった上位チーム。控えの底上げなくしてはAクラス入りは厳しいのかもしれない。

 最近、野村元監督が唱えていた弱者の戦略を頭に浮かべることが多い。とにかくエースと四番がしっかりすればチームは強くなる。そしてチームの顔からリーグの顔、そしてプロ野球界の顔まで上り詰めた選手がいれば、それは必ずやチームの鑑となるわけで、その鑑を見て他の選手は育っていく。全てが好循環に回っていくわけだ。投手陣であれば吉見が今一度しっかりと身体をケアし、投手陣を引っ張るリーダーとしての役割を担い、後方支援としてタメ年の浅尾やレジェンド岩瀬がバックアップ。ドラ1トリオや又吉、笠原、阿知羅といった若い力が真っ向勝負を挑んでいく。元横綱曙似のルーキー鈴木博のうなる豪速球がナゴヤドームにお客を呼ぶドル箱ツールになればドラゴンズの勝利数は間違いなく昨年より増すはずだ。

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