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小泉純一郎元首相、「原発ゼロ法案」発表の背景

今も講演は盛況 ©文藝春秋

 年始から小泉純一郎元首相が吼えている。76歳の誕生日を迎えた2日後に当たる1月10日、久々に国会に姿を現すことになった。

「小泉氏が顧問として昨年4月に立ち上げた市民団体が『原発ゼロ・自然エネルギー基本法案』を作成し、国会の議員会館で小泉氏本人が出席して記者発表を開くことになりました。細川護熙元首相も顧問として同席します」(小泉氏周辺)

 小泉氏は全政党に、同法案への賛同を呼びかけ、20日から始まる通常国会を狙う。

「同団体には弁護士や元党職員ら法案作成に詳しいメンバーが揃っている。昨年の衆院選前から準備を始め、水面下で野党各党に接触。国会開会前という発表時期は小泉氏の政局勘で決まりました」(同前)

 これらの動きは昨年12月に朝日新聞が第一報を報じた。小泉氏が記者に接触し、自ら「レク」をしたほど、“小泉主導”で動いている。

 小泉氏と言えば、4年前の都知事選で「原発ゼロ」を公約に掲げて出馬した細川氏を全面的に応援したが、自民党や公明党が推す舛添要一氏に惨敗。その後は選挙とは距離を置き、講演行脚を通した「国民運動」に専念していた。

 一方、安倍政権は原発の再稼働を推進。経団連次期会長を出す日立が英国で手掛けている原発建設も、政府が全面的に支えようとしている。

「小泉氏は過去に3度、安倍首相に『原発ゼロ』の決断を直接迫ったものの、いずれも聞き入れてもらえませんでした。最近では、消費増税時の軽減税率導入や、財政出動に走る官邸一強の政権運営にも公然と異を唱え、不満を顕わにしています」(ノンフィクションライターの常井健一氏)

 小泉氏は「自民党が賛成しないのは当然だが、国会で議論になれば役所から情報が出てくる、ニュースになる、議事録にも残る。面白くなる」と周囲に強気の構えを見せている。2月には初の回顧録を出版する予定で、小泉法案にも注目が集まりそうだが……。

「法案の提出に一番乗り気なのは、立憲民主党です。枝野幸男代表は、小泉氏や細川氏とタッグを組むことで、左に振れ過ぎた党の路線を修正したいのでしょう。心配の種は、暴走しがちな同党所属の菅直人元首相。“小泉色”が薄まれば、希望の党や民進党など野党の足並みが乱れ、法案提出もぶち壊しになりかねません」(野党担当記者)

 人生いろいろ、野党もいろいろ、元首相もいろいろ。