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壮絶ルポ 「ろくでもない男」に狙われる「シングルマザー」

子ども虐待の原因にも

2018/01/28

子どもの虐待が後を絶たない。ある調査によれば、虐待者の第1位は「ひとり親家庭」の「実母」。かわいいはずのわが子に手を上げてしまうのはなぜなのか。虐待経験のあるシングルマザーたちに話を聞くと“ろくでもない男”というファクターの実態が見えてきた。

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 北関東の児童相談所関係者が匿名を条件に語る。

「表だって公表はしていませんが、全国児童相談所長会では、母子家庭を虐待の『ハイリスク家庭』と位置づけています。

 実際、私が勤める児童相談所の虐待事例の6割が母子家庭か元母子家庭(再婚家庭)。再婚相手や、交際している男性が虐待したり、彼らからの何らかの影響で実母が虐待しているケースが多いのです」

 シングルマザーと内縁の夫(または交際相手)による虐待事件は、枚挙に暇がない。たとえば、2016年1月、埼玉県狭山市の自宅マンションで顔にやけどを負った状態で死亡しているのが見つかった藤本羽月ちゃん(当時3歳)の事件は記憶に新しい。

 顔にあざがある写真や無理やり正座させられている写真も報じられ、見る者の涙を誘った。2017年6月、内縁の夫(26)に懲役12年6カ月の実刑判決、実母(24)も懲役13年の実刑が確定した。

藤本羽月ちゃんが死亡したマンション ©共同通信社

 警察庁の発表によると2016年1年間に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供の数は、5万4227人と過去最多となった。摘発された虐待事件の件数も1081件で、こちらも記録更新となっている。

児童相談所に通告された子どもの数(各年上半期、警察庁まとめ) ©共同通信社

 全国の児童相談所が受ける虐待の通告件数は、統計が開始された1990年度からの25年間で100倍に増えており、2015年度には10万件を突破した。これは通告の件数であって必ずしも虐待事例が100倍になったとは言い切れないが、かなりの勢いで増加していることは間違いない。

 なぜ、子供への虐待が増えているのか。

 厚生労働省・虐待防止対策推進室の調査によると、虐待された子供の養育環境は「ひとり親家庭」、虐待者では「実母」がそれぞれ1位になっている。つまり「シングルマザー」の家庭ということになる。シングルマザーは近年増えており、最も新しい国勢調査(2015)のデータによると約181万世帯になるという。

 もちろん、愛情深く必死に子育てをしているシングルマザーが圧倒的多数であることは間違いない。筆者自身も4人の子を持つシングルマザーだ。

 ただ一方で、母と子供だけの家庭だからこそ、虐待に走ってしまう構造的な何かがあるのかもしれない。実際に虐待経験があるシングルマザーを探し、話を聞いた。

母と子供だけの家庭だからこそ