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清水 芽々
2018/01/28

「私は夫の言いなり」――唯香さん(仮名・24)の話

「中学の同級生だった元夫と19歳の時にデキ婚した」という唯香さん(仮名・24)は赤ん坊を抱いて誇らしげに出席した成人式から1カ月後に離婚した。理由は「夫が働かないこと」。結婚生活は1年しかもたなかった。

「結婚を反対した親に『ほら見ろ』と嫌味を言われるのがイヤで実家に戻らなかった」

 という唯香さんは、寮のあるキャバクラで働き始め、お客として来ていた今の夫(34)と知り合う。

「持ち家もあって稼ぎも悪くない。働くことにも疲れて、子供と一緒に居る時間が欲しかった私にとって、『俺と結婚したら専業主婦にしてやる』というプロポーズは魅力でした」

 結局、娘(4)が2歳のときに再婚した唯香さんだったが、現実はシビアだった。

「結婚して初めてわかりましたが、夫は自分が最優先されないと気が済まない人でした。急に熱を出した子供を病院に連れて行ったら『メシの支度をしてない』とキレられました」

 子供の遊び相手をしている時でも、自分の身の回りの世話を言いつけ、すぐに従わないと怒鳴り散らす。母親との触れ合いを邪魔されて愚図る子供には、容赦ない鉄拳が飛んだ。

「幸い私に暴力を振るうことはなかったんですけど、私が言うことを聞かないと子供にシワ寄せが行くので、私は子供のために夫の言いなり。気がつけば『なんでアンタはパパを怒らすようなことをするの!』と私も逆ギレみたいに手をあげるようになりました」

 リビングで子供を打ち据えていた時のこと。たまたまパトロール中の警察官に見つかり、血だらけの子供はすぐに病院に搬送され、唯香さんと夫は警察で事情聴取を受ける。

「夫はお酒を飲んでいたので、『酔った勢いでついやり過ぎてしまった』と説明したら解放してもらえました。万が一逮捕されたりしたら生活できなくなるのでホッとしました」

警察が出動するケースも多い ©共同通信社

 現在も親子3人で暮らしているという唯香さん一家。

「さすがに体罰は手加減しています。マジギレしそうな時は子供を無視します。相手にしないのがお互いのためだから」

「無視」も精神的虐待なのだが……。

「母親に十分かまってもらえないのは可哀想だけど、夫のおかげでお金の心配をしないで暮らせる。母子家庭時代はホント経済的にキツかった。愛情はお金で買えないって思われるかも知れないけど、愛情でご飯は食べられない」

 お金より子供を優先すべきではと尋ねると、「そんなのキレイごと」と一蹴された。