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2018/01/28

「彼が欲しいのは私だけ」――咲子さん(仮名・38)の話

「周りに何を言われようと今は気になりません。あれこれ言うだけで助けてくれるわけじゃないし」

 と吐き捨てるのはシングルマザーの咲子さん(仮名・38)。3年前「夫が仕事人間でかまってくれなかった」ことを理由に離婚した。7歳と3歳の子供を引き取り、2016年の秋から介護の職場で知り合った26歳の男性と同棲中だ。彼は咲子さんのことは「かまってくれる」が、子供たちの面倒は一切見ないという。

「だって彼が欲しいのは私だけ。おまけがふたつも居て申し訳ないくらいです」

 咲子さん曰く「子供たちに気兼ねしている」彼の機嫌を取るため、毎週末はふたりだけでドライブや旅行を楽しんでいる。

「食事は置いて行っているし、冷暖房も有ります。勝手に外へ出られないようにドアの外側にも鍵をつけました」

育児放棄はなぜ起きるのか

 子供たちは昼となく夜となく母親を恋しがって泣き、ドアには南京錠がかかっている。どう考えても普通ではない状況に同じアパートの住民が警察に通報。子供たちは児童相談所に送致され、咲子さんらは、警察から厳重注意を受けることとなった。

 咲子さんと彼氏は「なんか白い目で見られるようになったので気分が悪かった」と子供を児童相談所から引き取って、間もなく転居。その後も同じようなことを繰り返した。

「それでもついて来てくれる彼には感謝しかない。彼が今ではほとんど働かなくなったことも気になりません」

 一方で週末ごとに放置される子供たちが「不注意でケガをしたり体調を崩したりすることも気にならない」という。

「子供ってそういうもんでしょ? 親子の縁は切れないんだし、今は彼のケアの方が大事です。子育ては私の若さや美しさという『女』として重要な部分を奪って行くけど、彼はそこを満たしてくれる。母よりも女を優先するってそんなに悪いことですか? 私は前の結婚で女としてすごく寂しい思いをしたから、子供たちにはママの幸せのために我慢してもらいたいと思っています。おかあさんが笑ってないと子供も笑顔にならないでしょ?」

「やっていることはネグレクト(育児放棄)では?」という問いには、「母子家庭の時も同じような感じだったし、今の状態が前より悪いとは思わない」と答えた。