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プチ鹿島
2018/01/12

今年の朝日が駆使したテクニック

 では、今年は新聞おじさんは何と言っていたのだろう。

「朝日」と「産経」が目立った。朝日の社説タイトルは「成人の日『希望と不安と焦燥と』」(1月8日)。出だしはこうだ。

《いったい自分は何者なのか。
 20歳のころは誰しも、見えない未来に思い悩む。》

 イヨ、待ってました! 青春芸!

1月8日の社説は保守おじさんとリベラルおじさんの対決となった

 このあと漫画家・故水木しげるさんの青年時代の手記から「時代はわが理想を妨害する。どうだっていい、理想を押し通そうじゃないか」という言葉を紹介。そして、

《きのうのオピニオン面に原稿を寄せた朝井リョウさん(28)は、大学生活を送るなかで小説家になる夢を忘れかけていた。あと数カ月で20歳という時、それを思い出す。執筆以外のことをやめた。在学中にデビューし、平成生まれで初の直木賞作家になった。》

《お笑い芸人の山田ルイ53世さん(42)は20歳まで引きこもり続けた。中学は進学校で、成績も上位。だが中2の夏休み明けに心が折れてしまった。(略) 引きこもりの6年間は、無駄だったと言う。でも、人生に無駄があってもいい、とも。》

 朝日おじさんは著名人の青春時代を紹介しながら《20歳という通過点での生き方で、一生が決まるわけじゃない。自分は自分の道をいけばよい。》と説く。

 注目すべきは次。

《大人に、ましてや新聞に「かくあるべし」なんてお説教されるのはまっぴらだ、と思うくらいでちょうどいい。その大人たちだって、いまだ冷や汗をかきながらの人生なのだ。》

 またしても朝日おじさんには「新聞」が「説教をしている」という自覚が見えるのだが、一方で先回りして説教臭さを打ち消しているテクニックも感じる。

 ちがう、ちがう、私が読みたいのはそんな予防線を張ったものではなく堂々と説教をする新聞おじさんなのだ! そんなおじさんはもういないのか?