昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

suga
2018/01/13

広島・田中広輔の図太さがチームを導いている

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

田中はエリートアマ野球の出身

 田中がドラフトされるまで所属したのは、東海大相模高−東海大学−JR東日本と、いずれもアマチュア野球界の有名チームだ。有名チームで野球をやっていたから、周りには特別な才能の持ち主がいた。巨人・菅野智之、ロッテ・伊志嶺翔大、オリックス・吉田一将と同じチームだった。3人ともドラフト1位で入団している。

 田中はドラフト3位だった。ドラフトのとき「3位まで残っていたので指名した。もっと上位で指名されると思っていた」というオーナーのコメントがあった。カープのオーナーは野球通を自任してるだけに面倒なこともありそうだが、たまにヒットがある。この指名はホームランになった。

田中の盗塁刺の数の意味

 高校から社会人まで有名チームで野球をやってきたからか、田中のプレーは「やるべきことが叩き込まれている」という感じだ。塁にでればリードをとりピッチャーの集中を少しでも奪う。田中は2年連続で「もっとも牽制球を投げさせた選手」だと、NHK-BSの『球辞苑』で紹介されていた。

 田中のプレーで走塁は重要なポイントだ。一昨年、田中はリーグ2位の28盗塁だったが19盗塁刺で、盗塁成功率60%はいいとは言えない数字だった。セイバー系の分析では盗塁成功率は70%くらいはないと「攻撃の効率を悪くする」とされてしまう。それでも田中はミスにも下を向かず、目を見開いて平然とチャレンジを続けた。昨年はシーズン最初の3回の盗塁を失敗して、4月終わるまでは4盗塁に4盗塁刺だった。それでも田中には塁に出れば仕掛け続ける図太さがある。昨年のシーズンの終わりには35盗塁、13盗塁刺の盗塁成功率73%までもっていった。安全な選択をしていては、田中はここまでの選手になれなかったに違いない。そして、この図太さこそが、ほかの誰でもない田中がチームにもたらす大切なものだ。

 昨シーズン外野守備・走塁コーチだった河田コーチは、このスピリッツを推進していた。チャレンジしてのミスならOKだ。鈴木誠也はミスを恐れずチャレンジできる。変な言い訳かもしれないが、ミスしても田中は平然としているのだ。

 どうかカープファンは、このことに気づいてほしい。田中のミスを賞賛してほしい、というわけじゃない。3連覇を狙う今年のチームで怖いのは、ミスが増えることよりミスを恐れるようになることだ、と思うのだ。ゲームで選手がミスしたときは「こらっ。次は頼む!」でいいのだ。「これで流れが向こうに……」なんて心配はしない方が楽しめるんじゃないか。気に病んだところでゲームは次に進んでる。ゲームの流れを読むのは解説者にまかせて、ゲーム後にプロ野球ニュースでも観ながら反省すればいい、と思う。そうすれば二度楽しめる。だから田中が一塁にでたら、この合言葉でいこう。

「走れ! コースケ」

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ウィンターリーグ2017」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/5840 でHITボタンを押してください。

 

  HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。