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新成人を大混乱に陥らせた「はれのひ」篠崎社長の過去

成人式翌日の福岡市内の店舗 ©共同通信社

「篠崎さんにいくら払っていますか」

 福岡市内の呉服屋に税務署の職員がこう尋ねてきたのは5年ほど前のことだという。「篠崎さん」とは振袖のレンタルや着付けを手掛け、成人式当日に営業を停止した「はれのひ」(横浜市)の篠崎洋一郎社長(55)のことだ。

 この呉服屋の代表が語る。

「要は税金を払っていなかったのです。当時、篠崎さんは独立した後で、着物や記念撮影営業のテレアポのコンサルタント業務を請け負っていた。弊社でも委託していましたが、物事を“言い切る”タイプで『お客様は迷ってるから、ちゃんと言い切ってあげないとわからないよ』と、結果も出していた。ですが、儲けをきちんと申告しておらず、『この人は自分でお金を出すのが嫌なんだな』と思いました」

 1月8日、「はれのひ」で着付けをできなかった新成人が続出し大混乱。相談が寄せられているだけでも被害額は3億円近くに上っている。

「従業員への給与未払いでも労働基準監督署から5回の是正勧告を受けていた。負債総額は6億円超」(社会部記者)

 同社に振袖を卸していた京都の呉服問屋はこう語る。

「4年程前に取引を始めました。ヒゲ面で、ネットで着物のビジネスをやるような洒落た感じには見えませんでしたが、当初から『上場したい』と夢を語っていた。随分経営を簡単に考えてるなという印象でした。あるときは『料理屋で働いていた20代の女性と再婚する』と自慢げでした。ところが、約2年前に弊社への1000万円の売掛金が落とせなくなり、営業マンがいくら会社を訪ねても会って貰えず、携帯電話にも出なくなった」

 篠崎社長の知人が語る。

「彼は茨城出身で、地元の衣料品店や、菓子メーカー、着物販売会社などを転々としてきた。最初の結婚相手は『モデルのような美人だった』というのが自慢ですが、1年程で離婚したとのこと。今回の騒動後、上海に逃げたとも言われましたが、6年位前から月1回は中国に渡航していた。当時、中国は結婚式場が足りずに2、3年待ちというブームだったため、日本に中国人の結婚式を持ってきて、式場からバックマージンを得るビジネスをしようとしていた」

 だがその夢も叶わず。新成人の晴れの日を踏みつけにして、逃げた罪は重い。