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「ナンパの自由を」大女優ドヌーブがMeToo運動に一石

フランスで最も尊敬される女優 ©共同通信社

〈しつこく、不器用であったとしても、女性を口説くことは犯罪ではない〉

 昨秋以降、世界的な広がりを見せているハリウッド発のセクハラ告発ブーム“MeToo”運動に、そんな異論を唱えたのはフランスを代表する大女優、カトリーヌ・ドヌーブ(74)だ。9日、ドヌーブを始めとするフランスの映画関係者、作家、ジャーナリスト、文化人ら100人が、ル・モンド紙上に〈性の自由化には欠かせない、ナンパする自由を!〉と題する声明を連名で発表したのである。ドヌーブらは、「性暴力は犯罪」という立場は明確にしたうえで、女性を口説く権利は性的自由の重要な一部、と主張した。

「声明は、ツイッター上で告発された男性が反論の機会もないまま社会的に抹殺されていくのは全体主義的だ、と批判。さらにこうしたムーブメントは、〈表面上は女性を擁護するようでいて、結果的には女性を永遠に被害者の立場に縛りつける。女性の自立を推進するのではなく、性的自由を奪っている〉と指摘し、フランス国内で多くの賛同を得ています」(現地記者)

 国外でもイタリアのベルルスコーニ元首相(11年に自身のセックススキャンダルで辞任)が「ドヌーブの言葉は賞賛に値する」と歓迎した。

 一方で、ハーヴェイ・ワインスタインからのセクハラ被害を告発したイタリアの女優、アーシア・アルジェントは、ツイッターで〈ドヌーブたちは女性蔑視の文化で育ったせいで、すっかり洗脳されてしまったようね〉と批判。仏国内のフェミニズムの活動家らも書簡で「敬意や快楽に基づく誘惑と暴力を混同している」と指摘した。

「政治的発言を厭わないドヌーブは、フランスで中絶手術が違法だった71年、自らが中絶の経験者であることを明かした上で女性の『選ぶ権利』を求める運動に参加するなど、フェミニストとして知られています。ただ、昨年、未成年者との45年前の性行為が発覚したロマン・ポランスキー監督を擁護したことで、『時代錯誤で感覚がズレている』と批判された。今回の発言に“またか”と冷ややかな声もあります」(同前)

 批判を受けたドヌーブは14日、書簡でセクハラ被害者への謝罪を表明したが、一方で〈私は自由を愛する〉と、大女優の貫禄も見せた。