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商工中金・新社長は広報業界の有名人 その意外な人脈と経歴

2018/01/22
3度目の危機対応に(経産省提供)

 1月12日、企業の広報経験者たちは、速報に騒然となった。不正融資で存亡の危機に瀕する商工中金の次期社長となるのが、関根正裕プリンスホテル常務(60)と報じられたからだ。

「関根氏は企業広報、特に金融機関の広報経験者では知らない者はいない有名人。高杉良氏の小説『金融腐食列島II 呪縛』は、第一勧業銀行(現みずほ銀行)の不正融資事件で危機対応にあたった『4人組』がモデルですが、彼らの下で、修羅場をくぐったのが関根氏でした」(金融関係者)

 東京地検特捜部の捜査を受け、一勧の頭取経験者を含む11人が逮捕され、元会長が自殺した一大経済事件である。

「連日のように記者会見が開かれ、直後、釈明していた役員が逮捕されるような異常事態が続いていた。この時、広報で危機対応にあたったのが、後に作家となる江上剛氏。関根氏は江上氏に見込まれ、2人で総会屋系出版社などを相手に持ち前の粘りで奮闘したのです」(同前)

 その後は、都内の支店長を歴任したが、「4人組」の筆頭格で西武HDの社長に転じていた後藤高志氏に請われて、西武の再上場やプリンスホテル再建にあたっていた。

「今回の人事は経産省、後藤氏、関根氏にとって『三方良し』」と語るのは、経産省関係者だ。商工中金を所管する経産省は、元事務次官の安達健祐社長の下で不祥事を起こしたとあって、後任には民間人を充てる方針だった。

「だが、存在意義が問われている商工中金に来てくれる人はいなかった。そこで相談したのが後藤氏でした」(同前)

 西武側にとっては、

「後藤氏に引っ張られた関根氏だが、歯に衣を着せぬ直言をすることもあって、両者の間には隙間風が吹いていた。そこで関根氏はあえて火中の栗を拾うことにしたのです」(西武関係者)

 関根氏は、意外な政界人脈も持つ。

「早大では雄弁会に属していた。同じ早大卒の岸田文雄自民党政調会長とは開成高校で同期。野球部で共に汗を流した間柄です」(同前)

 経産省の有識者会議は11日、商工中金について今後4年間をかけて完全民営化の是非を判断するとの提言をまとめている。関根氏は得意の危機管理で力を発揮できるか。

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