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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2018/01/24

back numberとflumpool 比べて感じた“共通のにおい”――近田春夫の考えるヒット

絵=安斎肇

『瞬き』(back number)/『とうとい』(flumpool)

 今週は、back numberとflumpoolの新譜でいきたいと。して理由だ。その二曲が「なんとなく似ている」からというのだ。ってちょっと待ってよ! そもそも似てるのは楽曲なのかね、それとも容姿なのかね? 大体さぁ、なんなのよ、なんとなくって。

 はじめは、その提案の――昔風に申せば、まさにおとそ気分の抜けきっていないという形容もピッタリな――あまりのゆるゆるさに、ひとりで“受けて”いた私だったのだが、コレはコレでアリというか、このいいまわしで今回は案外アタリなのかもねと、作業を進めるうち段々そんな気持ちにもなっていった。

 世の中にはなんとなくとしかいいようのないことも多くある。例えば俺なんかにしろjpopなどを耳にするとき、なんとなくとしかいいようのない様々なことをよく感じていたりする訳である。

 おっと、話がそれてきたゾ。

 いずれにせよ作品チェックをせぬことには始まらぬ。

瞬き/back number(UNIVERSAL)群馬出身の三人組バンドの1年ぶりになるシングル。映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』主題歌。

 早速ジャケットに目をやると二枚のタイトルはそれぞれに『瞬(まばた)き』に『とうとい』とある。で、その二つのコトバなのだけれど、なんの共通点もないというのに、なるほどどことなく似た佇まいが感じられはしないか。いやそればかりではない。ジャケットのビジュアル全体、どこがどうといわれると指摘も出来ぬのだが、なにか同じような“オーラ”を発しているようにも思えてくるから不思議だ。おっしゃる通り、色々たしかになんとなく似ているのである。

 担当の若者の“かの表現”だが、実は決しておとそ気分抜けやらぬアバウトなものなんかではない、どうどう正鵠(せいこく)を得た、確信犯的発言なのやも知れぬな。失礼しやした。

 そんなこんなで、私は満を持して(笑)曲の聴き比べに入ったのだった。

 すると、どのような音楽/バンドの影響があるかといったことでは、二者に一般的共通性は見出せるものの、ボーカルにせよ、サウンドにせよ、それぞれはそれぞれにちゃんと独自な世界を持っている。誰が聴こうが、決してこのふたつの楽曲を取り違えるということはないであろう。

 なのだけれど、ウーム……。二曲を聴くとき、私の心には、同じような感情が湧き上がってくるのである。

 それは一体なになのか?

とうとい/flumpool(UNIVERSAL)大阪・兵庫出身の四人組バンド。本曲発売直前に、山村隆太(ボーカル)の発声障害で活動休止に。

 単刀直入にいってしまえば、どちらの音楽も、俺なんかのような高齢者の男性はハナから、相手にしていない感じがするとでもいえばよろしいか。いい換えるなら、聴いていると、あくまで若く、しかもどちらかというと“地味で真面目”な女という層に、徹底的に狙いを定めるべく冷徹に会議を重ねているような光景が、脳裏に浮かんできて仕方がないのである。てなことなので。

 この二枚のどこがなんとなく似ているのか? それは結局“におい”の強さでは? ということに私は結論を下した。それをマーケティング臭というのか戦略臭というのか、そのあたりは門外漢ゆえよくわからないんですけどね……。

今週の活動報告「12月31日の大晦日は、NEW YEARS ROCK FESTIVALにオレも新バンド“活躍中”で出演したんだけど、お客さんの反応も良かったね。以前とは違う新しい音がするという感想ももらえて、嬉しかった」と近田春夫氏。「(内田)裕也さんも意外と元気そうでした。様になっている立ち姿も拝むことができたんで、ホッとしたよ」