昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/02/16

PR

恩師にもらったお守りの鉛筆

 ニャムさんがお守り代わりに持ち歩いているのは、学生時代に恩師からもらった「一歩一歩進め。」と書かれた湯島天神の鉛筆。「『一歩一歩』が大事。私の宝物です」

湯島天神の鉛筆は大切な「お守り」

 一歩一歩、着実に仕事をこなすニャムさんに、同僚は「真面目で一生懸命」「いつも明るくて、日本語がまだよくわからない外国人スタッフの面倒もよく見てくれる」と絶大な信頼を寄せる。

 仕事や日本の環境に不慣れな外国人スタッフに対して、翻訳や指導教育も行っているという。ニャムさんは、今後の「リーダー」として活躍することが期待されているのだ。

作業終了後は指さし確認。正確さとスピードが求められる

 ニャムさんのカバンにはいつも学生時代に愛用していた分厚い辞書が入っている。円滑なコミュニケーションのために、ニャムさんは日本語の勉強も欠かさない。

勉強熱心なニャムさんは、去年、日本語検定1級にも合格した

「知らない言葉を聞いたら、単語を覚えてあとで必ず調べます。でも、“若者言葉”は辞書には載っていないから、同僚に教えてもらうことが多いかな」

 ニャムさんは、同僚との会話やテレビ番組などでも日本語を学ぶ。

「言葉だけでなく、背景にある日本の文化も覚えないと理解できないから」

 

 たとえばどんな場合? と聞くと、「そうですね……、たとえば、『お疲れさま』と声をかける文化はベトナムにはないから、その言葉しか知らないと『疲れてないよ』となってしまう。でも、『仕事が終わった時に“お疲れさま”と挨拶すると、お互い気分がよくなるよ』と教えると、外国人スタッフも理解ができます」

清掃が終わり、指さし確認。ここでも笑顔を忘れない

 休みの日は、外国人の友人と集まって日本語の勉強をすることが多いというニャムさん。「自分の国の言葉ではないので、勉強しないと忘れてしまう」と謙遜する。

 ベトナムが恋しくなることはないのか尋ねると、「友達もたくさんできたし、食べ物も美味しい。日本のお菓子は美味しくてパッケージもきれいなので、お土産でベトナムに持ち帰るとすごく喜ばれます」

次に発着する電車のために、分刻みで清掃を行う

世界と日本をつなぐスペシャリストになりたい

 ニャムさんの夢は、掃除だけでなく、外国人スタッフへの指導教育においても、トップリーダーになること。

「仕事の相談はもちろんですが、文化や言葉の違いによる外国人スタッフの困りごとや相談にも乗れるスペシャリストになりたい。外国から来て文化や言葉で戸惑っているスタッフの支えになれるよう、しっかり実績を重ねていきたいです。弟とも一緒にこの会社で働けたら、嬉しいですね」

清掃が終わりきれいになった車両が次の乗客を待つ

写真=佐藤亘/文藝春秋

#1 警察官不採用からの挑戦 清掃班リーダーに抜擢された理由
#3 若き清掃マンが上野駅でぶつかった思いがけない「壁」
#4 羽田空港からJR東日本の駅清掃へ。63歳・正社員の女性クルーは「駅に恩返しがしたい」

「東日本環境アクセス」に興味を持たれた方、働きたいと思った方はこちら