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シャープ公式ツイッター、なぜこんなにフォロワーがいるの?

“中の人”シャープさんにインタビュー #1

炎上には2種類ある

――シャープさんは「批判や炎上を恐れずツイッターを更新し続けた」という評価で広告クリエイターに贈られる「佐治敬三賞」を受賞されていますが、それでもツイートするときにリスクを感じることはないですか? 特に一社員としての体温を乗せて何かを言うときに。

シャープさん うーん、みなさんツイッターって聞くとすぐ「炎上」って話になっちゃうんですけど、僕は炎上には2種類あると思っているんです。ひとつは、ツイート自体に問題となる発言が含まれていたから批判を受ける炎上。もうひとつは、ツイートそのものじゃなくて、企業で言えば、企業自体が何か問題を起こして、それに対する批判が公式ツイッターに押し寄せる炎上ですね。そういう意味で、僕はSHARPのツイッターを6年やってますが、そのうち4年ぐらいは後者の意味での「炎上」の只中にいます。経営が思わしくなければ株価が下がり、ステークホルダーから批判されます。経営が不安定なのかなと思われると、商品を使っているお客様は心配になる。そういう不安や怒りの眼差しを、直接窓口のひとつであるツイッターが受け続けているんです。言ってしまえば、僕の背後にある会社はボーボー燃えているわけで、それなのに「社員一同頑張ります」みたいな紋切り型のクリシェを呟いても、場は白けるだけです。今までの企業コミュニケーションはリスキーなことに対して言及しないのが常道だったかもしれません。でも誰が見ても燃えているのに、それをなかったふりして平然とツイートし続けるっていうのは、もうインターネットの世界では無理なんです。

 

――不都合な点に関して、そ知らぬ顔をしていると総ツッコミされますもんね。

シャープさん ネットでの振る舞い方の基本は、あることはあると認めることです。ですから、先ほどのように「シャープさんの発言はスレスレですね」とよく聞かれますが、そうじゃなくて、今起こっていることを僕も了解してますよ、という前提で発言をしているだけなんです。世間からのご批判に対峙するには、結局一社員、個人に立ち返って発言していくほかありません。炎上スレスレじゃないんです。炎上していることを認めることから、1対1の対話は始まるし、1人の会社員という企業のブランドパーソナリティが生まれると思います。

「ありがとうございました」と直接伝えられることは革命です

――ツイッターを介して、直接お客さんとやりとりすることはよくあるんですか?

シャープさん 10万以上のツイート数ですが、そのうち半分以上はお客様との1対1のやりとりです。いろんなご批判をいただくこともありますが、平和なときは「トリセツを無くしちゃったので、どうすればいいか教えてください」という問い合わせなんかもあります。できる範囲のことはリプライしますし、多いときには1日100人くらいの方から「今日はシャープの〇〇を買いました」といったご報告をいただく。それに対して僕は「ありがとうございました」ってお礼を伝えます。実はこれは革命的なことで、それまでは家電販売店の方が「ありがとうございました」って言ってくれていた。それを、メーカー側が直接、買ってくれた人に伝えられるようになったんです。シャープさんとして「ありがとうございました」と直接伝えられることは、僕にとって、この仕事の大きなモチベーションになっています。企業のツイッターができる、かけがえのないことの1つですね。

 

写真=平松市聖/文藝春秋

*後編(http://bunshun.jp/articles/-/6003)ではシャープさんの考える「伝える力」を伺います。