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高卒2年目・古賀優大に注目 ヤクルト捕手勢力図

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2018/01/27
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注目の「三番手」捕手争い

 この「三番手」争いは熾烈になってきそうだ。次に一軍への切符を掴むのは誰か。
2017年に二軍で最も多くマスクをかぶったのは古賀だった。連戦での起用や投手との組ませ方など、優先的に経験を積ませているらしく、首脳陣の期待が感じられた。打撃センスや肩の強さ、送球の速さも光る。まだまだ経験値は低いが、捕手ならではの「いい性格」も見え、メンタルも強そうだ。

 対抗馬としては、育成で27歳になる大村孟に注目したい。故障はあったが、捕手と内野・DHでの合計出場数が99試合と、二軍捕手の中では一番多かった。規定打席に達したイースタンでは、打率.268でリーグ6位。打撃では頭一つ抜けている。二軍では充分クリーンナップを打てるだけに、今季も一塁やDHでの出場が多くなるかもしれない。だが支配下登録のためには捕手としての実績を積み、アピールし続けることだ。ファン感謝デーではファンを大いに笑わせてくれた。次は一軍でファンを楽しませたい。

 今季はさらに西濃運輸からドラフト7位入団の松本直樹が加わる。将棋が得意な知性派で、肩の強さに定評のある25歳。新人合同自主トレでも、捕ってからの送球の速さは見て取れる。にこにこ温和な笑顔が実戦でどう変わるのか、打撃の実力も楽しみだ。

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打撃練習をするルーキーの松本 ©HISATO

 4年目22歳の山川晃司も黙ってはいられない。2016年には期待値の高さが感じられていた。盗塁阻止や打撃等、課題は多いが経験は積んできた。殻を破る奮起が期待される。35歳となる井野卓には、二軍にいれば若手投手の指導など、また違う役目があるだろうが、一軍への三番手を選ぶなら名前は当然上がってくるだろう。高卒、大卒、社会人出身、BCL出身と様々なルートを持ち、個性も様々な捕手陣。それぞれが持ち味を生かして成長し、競い合えば面白い。

 絶対的な正捕手がいるチームは良い。それは間違いない。だが複数の好捕手がいるチームもまた強いのだ。

 1月18日、春めいた日差しの戸田球場。「松山組」から戻ったばかりの古賀が早い時間から現れた。松山での自主トレを「きつかった」と振り返りながらも、一軍キャンプという目標を見据えて積極的に動き続けている。松山への参加は中村の誘いだったという。自主トレは自分のためであると同時に、互いに切磋琢磨し、後継者を作り、チーム全体の底上げをする場でもある。今季から選手会長兼キャプテンとなる中村は、先々のことまで考えて古賀を誘ったのだろう。

 捕手の育成は一朝一夕にはいかない。中村の背を見て食らいつこうとする古賀が、中村を脅かすまでに育った時、未来のスワローズがまた一つ強くなる。

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