昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

坂崎 仁紀
2018/02/08

笹塚「柳屋」のキーマカレーそばは“東京一の傑作”だと思う

天ぷら有名店の隠し玉

genre : フード, グルメ

 笹塚は江戸時代には新宿からの一里塚として、また、大正時代以降には鉄道の起点として栄え、現在も新宿至近の住宅地として人気の高い街である。

 駅から甲州街道を渡ると、すぐに細い十号通り商店街がある。中華そば「福寿」へ行く道といえばわかる年配の方も多いだろう。この路地に入ったすぐの右手にある大衆そば屋が「柳屋そば店」である。カウンター5席の通りに溶け込んだような小さな店である。

笹塚の十号通り商店街に溶け込む「柳屋」

「辛いですよ」

 50年ぶりの寒波到来という1月下旬に久々に訪問すると、二代目の女将さんがにこやかに迎えてくれた。古い造作だが白い清潔な店内、そして、目に焼き付くような黄色い短冊のメニューがずらっと並ぶ。

 いつもの「人参天そば」420円を頼もうと天ぷらをのぞき込むと、午後2時を過ぎていたせいか、ほぼ売り切れ状態で、かき揚げ天などを残すのみ。何にしようかとしばらく黄色いメニューを眺めていたら、その下のPOPに「キーマカレー丼のセット」630円があることを発見した。「キーマカレーそば」は注文できるか伺うと、「もちろんできますよ。外にもちゃんとメニューがありますからね。辛いですよ」と素敵な返事が返ってきたので、早速、注文することにした。

 

 ほどなく、ちくわ天入りの「キーマカレーそば」が着丼した。まずつゆをひと口。するとカレーのルーが漆黒つゆに融合して、辛さが立ち上がった。この組み合わせは食欲をそそる。キーマカレーは女将さんがスパイスを吟味して、玉ねぎやひき肉と合わせてじっくり煮込んで作っているそうで、「キーマカレーそば・うどん」450円は隠れた人気メニューになっているそうだ。

ちくわ天をトッピングした