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連載今夜も劇場へ

結城 雅秀
2018/02/02

木下戯曲『神と人とのあいだ』二部作が問う戦争責任――今夜も劇場へ

 木下順二が70年に民藝に書き下ろした『神と人とのあいだ』。『審判』と『夏・南方のローマンス』の二部構成だが今回初めて一挙上演される。

 東京裁判に取材した『審判』では戦争責任を裁こうとするが、神ならざる人は人を裁けないことが明白となる。「平和と人道に対する罪」の管轄権、仏印におけるフランス軍の性格、原子爆弾投下に際しての米側の責任などに問題が波及してしまうのだ。裁判の行方を決めるのは正義や公正ではなく、冷戦時代に突入しようとする時代状況と戦勝国の都合だ。『夏・南方のローマンス』は、現地で行なわれたBC級戦犯裁判が題材。島民と親しくしていた上等兵はなぜ絞首刑となってしまったのか。誰が誰を裁いたのか。

 両作品から湧き上がる矛盾に直面すべきだが、時間がないとなったなら、『夏・南方の……』。桜井明美の演ずる女漫才師(上等兵愛人)の洒脱な演技が見逃せない。

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INFORMATION

劇団民藝『神と人とのあいだ』木下順二作
第1部『審判』兒玉庸策演出、第2部『夏・南方のローマンス』丹野郁弓演出
2月24日〜3月10日、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(新宿南口)にて
http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2018kamitohitotonoaida/