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“角界の体質”から思い出す2つの「名言」

「週刊文春」2月8日号 最新レビュー

2018/02/03
note

相撲協会の下地がめくれて見え出したかのようだ

春日野 (相撲界は)学校に行けない、家に金もない、体大きくて、そういう奴らの集まりじゃないか、ハッキリ言って。そういう奴はどこいくんだよ。》

 あまりに思い切ったことを言っていて驚くが、これなど柳川組の二代目・谷川康太郎の言葉に通じもする。「組は、前科とか国籍とか出身とかの経歴をいっさい問わないただひとつの集団だ。だから、社会の底辺で差別に苦しんできた人間にとって、組は憩いの揺籃となり、逃避の場となり、連帯の場となる」。国籍が問われる点では相撲界のほうが後進的とも言えるが。

初場所千秋楽で挨拶する八角理事長(中央) ©JMPA

 またテープの中で春日野親方は、「今こんなことになったら、文科省は突いてくるよ。相撲協会が人手に渡ってしまうんだよ」と外部の人間が影響を及ぼしてくることへの警戒感を表している。

 これなど昨年起きた日馬富士による貴ノ岩への暴行事件で、貴乃花親方が警察に通報したことに対する、相撲協会側からの非難の下地がめくれて見えだしたかのようだ。

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 などという具合に「肉声テープ」の全容を読んでいくと、思わぬかたちで露見した本音から相撲界の実相が見る思いがする。

“角界の体質”から思い出す2つの「名言」

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