あずき、いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆……種類の多い豆類は、栄養の宝庫だが、日々の食生活にちゃんと取り入れられているだろうか。
食と栄養に詳しい医師・関由佳さんに聞いた。
豆は世界のスーパーフード!

専門は内科、予防医学。医食同源の考えのもと野菜を多く使ったバランス食を自ら実践。ダイエットやアンチエイジングから病気の予防まで、毎日の食事で健康を目指す料理イベントなどを開催している。2013年にはニューヨークの料理専門学校に留学。現在は、食物で病気を予防する栄養療法や予防医学に力を入れた診療を行いながら、岡山大学大学院公衆衛生学分野にて腸内環境と発酵豆の関係について研究中。
豆は体にいい……このイメージを持つ人は多いだろう。今回注目したいのは、あずき、いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆などの豆類。これらは、各種栄養成分をバランスよく含む、いわばスーパーフードなのだ。
食と栄養、健康の関係に詳しい医師・関由佳さんは、腸内環境と豆の関係について研究を続けている。
「豆は、良質なたんぱく質、ビタミンB群、ミネラル、食物繊維など、栄養の宝庫です。古来、豆は世界中でたんぱく質源として重要な食品です」
あずき、いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆などの豆類は、低脂肪、高たんぱくで、大豆に比べて炭水化物が多く、食物繊維も多い。
「炭水化物が多いといっても、良質な複合糖質です。豆の糖質は血糖値も上げにくい。現代の日本では、たんぱく質摂取の少ない人が増えています。たんぱく質が不足すると、代謝が落ちて、あらゆる機能が低下し、老化につながります。豆で、良質な植物性たんぱく質を摂ってほしいですね。また、豆の良質な脂質と食物繊維で、悪玉コレステロールを下げることもできます」
豆はダイエットにも効果的だ。
「豆は、食品の中でも一番といえるほど食物繊維が多いので、腸内環境を整えることができます。また、ビタミンB群が、糖質や脂肪の代謝をアップします」
広く知られてきたように、メタボリックシンドロームは、ただ太っているだけではなく、内臓脂肪が多く、糖尿病などの生活習慣病、心臓病や脳などの血管の病気につながりやすい状況。
「メタボリックシンドロームの人は脂肪肝が多いのですが、これも代謝が悪く、正しく消化分解しきれていないのが原因です。ミネラルやビタミンB群が不足すると、代謝が落ちるのです」
また、食物繊維が不足して腸内環境が乱れると、それは肌にもあらわれる。
「健康にも美容にも、正しく消化・吸収を行い、代謝を保つことが何より大切なのです。そして豆には、それらに必要な栄養成分が揃っています」
このような栄養面のメリットに加え、持続的な農業に不可欠な環境にやさしい作物であることから、豆はアジア・アフリカを始め、世界各国で栽培されている。2016年には、国連が定めた「国際マメ年」として全世界で豆の生産・利用の拡大に向けた取り組みが展開された。また、国連では2020年から毎年2月10日を「世界マメの日」とすることが検討されていて、世界的に豆が注目されている。
