昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

平昌五輪開会式リハーサルに潜入 一番の問題は「観客も逃げる寒さ」

体感温度はマイナス22度。使い捨てカイロは温まらなかった。

2018/02/06

 いよいよ、平昌冬季オリンピックが秒読みに入り、慌ただしい雰囲気になってきた韓国。

 2月3日には9日の開会式の第1回目のリハーサルが行われたが、寒さから途中で退場する観客が続出するというハプニングが起きた。

平昌オリンピックの開・閉会式が行われるメインスタジアム

入場までに700メートルの長蛇の列

 この日はボランティアや地域住民など2万人がリハーサルに招待され、その中のひとり金さん(35歳)も「いい思い出になるだろう」と足を運んだが、「想像以上の寒さでした」と苦笑する。

「行く前から『寒い寒い』と脅かされていたので、万全の装備で臨んだのですが、風が厳しかった……」

 そう語る金さんは、上半身はユニクロのヒートテックに厚地の綿シャツ、タートルネックセーターにマフラーを巻いた上にロングダウンジャケット、下半身は同じくヒートテックにコーデュロイのズボン、その上にさらにスキー用のズボンを重ねて、顔には登山用の顔マスク。手にはスキー用の手袋をはめて靴下は2枚重ね、使い捨てカイロも足下など体の要所要所に貼り付けて、これで万全と意気揚々と会場に臨んだ。が、しかし、

「あまりの寒さで使い捨てカイロが温まらないというのは誤算でした」

 その日の気温はマイナス15度だったが、風が強く、体感温度はマイナス22度と報じられた。

 初めてのリハーサルだったこともあり、入場までに700メートルほどの長蛇の列ができたという。

「1時間半くらい立ち続けました。セキュリティチェックのためかなと思ったのですが、そんなにしっかりやらなくて、入場のチケットさばきがもたついていたようです」

会場の外には長蛇の列が。極寒の中、1時間半も待たされた。

本番の開会式は3時間以上かかるが……

 その日20時から行われたリハーサルでは、オープニングのパフォーマンス、国別の入場、韓国の伝説を基にしたショーなどが披露された。

「ショーはなかなか見応えがあって観客も喜んでいましたが、そこに行く前に寒さに耐えられずに、その前の国別の入場のところでバラバラと人が会場から抜けていきました。

 観客席の椅子は野球場のようなプラスチック製だったので、ものすごく冷たくなっていて、それが重ね着した服からじんわり伝わってくる。その上、屋根のない上空からは風にさらされ、周りの防風幕のすき間から入ってくる風とダブルパンチになって、『凍るような寒さ』とはまさにこのことだと。それでも、せっかく来たんだしと思って頑張って最後まで見ましたが、会場に留まっていた人の中でも、暖かい休憩室に逃げ込んでしまう人もいました。

 リハーサルでは開会式のごく一部が披露されただけで、時間も2時間弱でしたが、3時間以上かかると言われる開会式すべてを寒さに耐えながら見ていられる人がいるのか……。実際にあの寒さを体験してみて、『開会式会場に人がまばらになるのではないか』なんていう話が冗談ではないと感じました。オリンピックの閉会後、各国からクレームが来るのではないか心配です」

 2月9日の開会式では防寒対策のひざ掛けなどの6点セットが観客に配られる予定だが、開会式は気温が下がる夜の8時から始まる。

 当日の天候次第では、開・閉会式のためだけに建てられた会場を使わず、急きょ、室内会場へ変更という、それこそハプニングも起きるかもしれない。