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陸自ヘリ墜落事故で考える、現代戦に求められる戦闘ヘリの条件

このままでは自衛隊から戦闘ヘリが消滅する

2018/02/14

ヘリコプター故の限界

 同じCAS専用と言える航空機でありながら、AH-64とA-10でここまで差がついたのは何故だろうか。それは戦闘ヘリというより、ヘリコプターそのものが持つ脆弱性に由来するだろう。

 固定翼ジェット機はヘリコプターよりもずっと速い速度で、より高い高度を飛び、より強力な装甲を付与できる。つまり、ヘリコプターよりも機関銃弾やミサイルの脅威に遭いにくく、仮に命中しても高い生存性を確保できるのだ。また、ヘリコプターが持つ優位性であるホバリング能力も、戦場ではともすれば脆弱性になる。

 実際にアフガニスタンで特殊部隊シールズ隊員を乗せたCH-47輸送ヘリコプターが、隊員を降下させる直前でターリバーン兵の対戦車ロケット(MANPADSですらない)によって撃墜され、乗員全員が戦死する事態になっている(この事件は、映画「ローン・サバイバー」でも描かれている)。ヘリはその優れた特性と引き換えに、固定翼機に比して脆弱な存在なのだ。

陸自が保有するCH-47J(陸自Googleフォトより)

 そして、戦闘ヘリの価格が戦闘機に準じるものになった今、純粋にCAS用途で、高価で脆弱な戦闘ヘリを使うのは躊躇するだろう。だったら、長射程の誘導兵器を遠方から発射するか、今発達しつつある無人機を選択するという、人命リスクのない方法が好まれるかもしれない。

いつかは決めねばならない“次”

 しかし、いかに脆弱な存在だと言っても、現状で戦闘ヘリにすぐに代替可能な決定打と言えるものが存在しないのも事実だ。これは自衛隊のみならず世界的にも同様で、それまでは漠然と今ある戦闘ヘリを使い続けるしかなく、戦闘ヘリ自体がすぐに消えることはない。ただ、いつかは“次”を決める必要がある問題だ。

 AH-64D調達打ち切りから、10年間も宙に浮いたままの陸自の戦闘ヘリの後継問題だが、AH-1S減勢の勢いは止まることはない。なんらかの方策を示さなければ、いずれ僅かなAH-64D(それも事故で12機に減った)だけで戦闘ヘリ部隊を維持する半端な状態となる。このまま消滅するに任せるか、代替となる機体を提示するか、それとも戦闘ヘリに代わる存在を充てるのか。様々な選択肢があり得ると思うが、それは陸自がどのような将来戦像を描いているかにかかっているだろう。

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