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森岡 英樹
2018/02/20

日銀総裁・黒田氏再任でいいの? イギリスを見習って公募せよ!

カナダ人のカーニー氏がイングランド銀行総裁に ©共同通信社

 2月9日、日本銀行の黒田東彦総裁(73)が再任される方向とメディアがいっせいに報じた。

「黒田総裁が、次の任期5年を全うすれば在任10年。『法王』と呼ばれた一万田尚登氏の8年6カ月を抜き、歴代最長となる」(経済部記者)

 だが、本当に再任でいいのだろうか。最大の問題は、黒田総裁が「信認」を失っていることだ。

 黒田氏は5年前、「2年程度で、消費者物価上昇率を2%にする」と公約し、総裁に就任した。しかし、この公約達成は6回にわたって先送りされ、任期内での達成は不可能と見られている。

 さらに、欧米の中央銀行は、金融緩和からの“撤退”に入っている。アメリカのFRBは、量的緩和を終了し、既に5度の利上げを実施。ヨーロッパのECBも、緩和の縮小を着々と進めている。

 一方、本音では緩和を縮小したい日銀は、先の黒田公約に縛られ、「アナウンスなき政策転換」を余儀なくされている。

 今の中央銀行総裁に求められる重要な資質として、「市場との対話力」がある。

 だが、黒田総裁は、異次元緩和やマイナス金利など“サプライズ”を好む一方、公約を果たせず、その言葉の信頼性には疑問符がつく。

 そこで提案がある。次期総裁を国内外から公募するのだ。

 実は、金融立国イギリスの中央銀行であるイングランド銀行では、2012年に総裁を公募した例がある。その結果、選ばれたのは、カナダ中央銀行総裁を務めていたマーク・カーニー氏だった。

 日本銀行法に基づく認可法人である日銀は、職員は公務員ではない。日本国籍がなくとも総裁に就くことは可能だ。

 こうした観点から見れば、日銀総裁にうってつけの人物がいる。FRB議長を退任したジャネット・イエレン氏だ。金融緩和からの撤退を見事に成功させたイエレン氏は、市場からの信認が厚い。

 もちろん、黒田総裁も公募に参加すればいい。応募した候補を専門家からなる第三者委員会が審査した上で、安倍政権が国会に複数の候補者を提示し、金融政策の意見を披瀝してもらった上で議決する。そうなれば、国民は金融政策への関心を強め、日銀総裁の権威も高まるのではないか。